ウェーブロックHD Research Memo(2):ウェーブロック技術の導入からスタートした樹脂加工メーカー
ウェーブロックホールディングスは、1964年に「ウェーブロック」技術をイタリアから導入して設立された樹脂加工メーカーです。糸強化プラスチックシートを用いたこの技術により、物理的強度を高めた製品の開発に成功し、農業用雨合羽からビニルハウス、壁紙素材など幅広い分野へと進出しました。1990年には株式公開し、以降の成長戦略としてM&Aを積極的に展開。また、グローバル展開も加速させ、中国やASEAN諸国に子会社を設立。国内ではインテリア事業をサンゲツへ譲渡し、売却資金を新規事業やアドバンストテクノロジー事業への投資に注いでいます。事業は主にマテリアルソリューション事業とアドバンストテクノロジー事業に分かれ、強みを持つ技術を活かし多様な高付加価値製品を展開しています。2023年にはRP東プラの株式も取得し、関連事業を強化しています。
1. 会社沿革
ウェーブロックホールディングス<7940>は、1964年に糸強化プラスチックシートに関する製法特許「ウェーブロック」技術をイタリアから導入するために、日商(株)(現 双日<2768>)、日本カーバイド工業<4064>、丸登化成工業(株)(現 龍田化学(株))の3社が均等出資して設立した日本ウェーブロック(株)が起源となる。ウェーブロック製法とは、2枚のプラスチックフィルムの間に合成繊維の糸を波状(wave)に複数配列し、接着固定(lock)してサンドイッチ構造にする製法のことであり、同製法で作られた樹脂加工シートは、伸縮性を持つと同時に物理的強度も大幅に向上するといった特長がある。1960年代に農業分野で使用されていたビニル製品は強度が弱く破れやすいという課題があり、創業者である木根渕弘水(きねぶちひろみ)氏が、同分野でウェーブロック製品のニーズがあると見て農業用雨合羽から技術導入を図った。その後、ビニルハウスやレインコート、産業用資材などにも市場の裾野を広げながら事業を拡大していった。
1979年には壁紙ベースメーカーとして壁紙業界に参入したほか、1980年に現在のアドバンストテクノロジー事業の礎となる金属蒸着ポリエステルフィルムなど複数の素材を組み合わせた多層ラミネートシートの製造販売を開始するなど、創業者の強力なリーダーシップにより事業の多角化を進めながら成長を続け、1990年には日本証券業協会の店頭売買銘柄に登録、株式公開を果たした。2003年に創業者の長男で前代表取締役社長であった木根渕純(きねぶちじゅん)氏に経営が引き継がれて以降は成長戦略の1つとしてM&Aにも積極的に取り組み、2005年に純粋持株会社体制に移行した。
海外展開については、マテリアルソリューション事業で編織事業の製造機能強化のため2012年に中国に合弁会社を設立したほか、2018年にASEAN地域での事業活動強化を目的としてタイに子会社を設立した。一方、アドバンストテクノロジー事業では販売子会社を2012年に韓国、2018年に米国、2019年にドイツで設立した。欧米子会社については主に自動車分野をターゲットに営業活動を推進している。その他、2013年にアジア地域における商社機能強化を目的に香港に子会社を設立した。
2021年3月には、(株)ウェーブロックインテリア(現 クレアネイト(株))の株式の51%をサンゲツ<8130>に譲渡し、主力事業の1つであったインテリア事業(壁紙事業)を切り離した。サンゲツはインテリア商社の最大手で主要取引先として2015年に資本業務提携を締結、同社の筆頭株主でもあったが、双方の協議によりインテリア事業を譲渡し、資本業務提携も併せて解消した。2022年5月にクレアネイトの残り49%の株式を譲渡しており、株式売却で得た資金を成長が見込めるアドバンストテクノロジー事業や新規事業への投資、M&Aやアライアンス資金などへ投下し、企業価値の向上を目指す戦略をとっている。直近では2023年6月に樹脂加工メーカーのRP東プラの株式を20.32%取得し、持分法適用関連会社としている。
マテリアルソリューション事業とアドバンストテクノロジー事業を両軸に展開
2. 事業内容
同社は複数の素材(樹脂、繊維、金属など)と各種加工技術(接着、溶着、ラミネート、表面加工、印刷、エンボス加工、編織、蒸着、発泡など)を「組み合わせる」ことで生み出される様々な付加価値製品(農業用及び建設・工事用シート、防虫網、食品容器用シート、金属調加飾フィルムなど)の製造・販売を各グループ会社で展開している。
事業セグメントは、マテリアルソリューション事業及びアドバンストテクノロジー事業の2つで構成されている。2023年3月期以降の構成比推移を見ると、売上高はマテリアルソリューション事業が70%超を占めているが、年々アドバンストテクノロジー事業の構成比が上昇している。一方、営業利益についてはアドバンストテクノロジー事業の売上規模がまだ小さく先行投資期間でもあることから、期によって変動が大きいが中長期的には売上規模の拡大にともなって利益構成比も上昇するものと見込まれる。
(1) マテリアルソリューション事業
マテリアルソリューション事業では、独自技術による高品質な各種合成樹脂製品(シート、フィルム、メッシュ、ネットなど)を建設資材、住宅資材、産業資材、農業資材、日用雑貨、食品包材などの幅広い分野に向けて販売している。このため、業界別・製品群別にビルディングソリューション、インダストリアルソリューション、パッケージングソリューション、リビングソリューション、アグリソリューションの5つのソリューションに営業組織を分け、市場の変化に対応した最適なソリューションを提供している。2025年3月期中間期の売上構成比では、リビングソリューションとパッケージングソリューションの2分野で全体の5割強を占めている。その他には、タイや中国の子会社を通じた仕入販売品のほか地中熱ビジネスが含まれる。生産拠点は、(株)イノベックスの主力拠点である古河工場(茨城県)のほか、編織製品については静岡県にあるダイオ袋井工場、ダイオ掛川工場や中国で加工生産しており、一部製品については外部生産委託も行っている。
a) ビルディングソリューション
主な製品として、工事用シート・メッシュといった仮設建設資材や、土木・林業資材として利用される植生網、防草フェンス、また、間仕切用資材となるカーテン・シートシャッターなどを提供している。主な販売先は、仮設リース会社や代理店、商社となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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