ウェーブロックHD Research Memo(9):金属調加飾フィルムの売上規模は3年で2倍に成長する見通し
ウェーブロックホールディングスは、金属調加飾フィルムの売上を2024年3月期の約32億円から2027年3月期に約2倍に増やす目標を立てています。この成長は北米市場の需要拡大が主導し、グローバルでの環境配慮型製品の高評価が背景にあります。特に自動車業界での採用が進み、技術の進化が成長を支えています。 また、ウェーブロックは資本提携先とのシナジー効果を最大化し、M&Aや新規事業開発を模索。従業員のエンゲージメント向上施策として、報酬の見直しや健康経営を推進。設備投資には51億円を計画し、その資金を営業キャッシュ・フローと有利子負債で賄う方針です。
(2) 成長分野の拡大
ウェーブロックホールディングス<7940>の成長分野である金属調加飾フィルム関連の売上高については、2024年3月期実績の約32億円から2027年3月期に約2倍増を目指す。2024年3月期までの3年間の年平均成長率が21.1%だったのに対して、今後3年間は26.0%と成長が加速する計画となっている。メインターゲットとなる自動車業界については新車の開発期間が長いため、2〜3年先までの部材の選定がほぼ決まっており、蓋然性の高い目標値になっていると考えられる。売上高が計画に届かないリスクがあるとすれば、採用モデルの販売が中止になるか、販売台数が計画から大きく乖離するケースなどである。地域別フィルムボリュームでは北米向けの成長が最も大きく、2027年3月期は構成比で6割程度を占める見通しだ。次いで、インド・東南アジア、欧州、日本、中国・台湾の順となる。
海外市場では、光や電波の透過性、意匠性の高さ、環境配慮型製品であることが評価されており、EVのエンブレムなど外装品を中心に採用が進んでいる。北米ではフィルムだけでなくパーツ成形品としての採用も拡大しており、2023年に現地に工場を稼働させた。中国では、2025年3月期よりEVの光透過エンブレムとしての販売が立ち上がった。インドでは従来、自動二輪車のエンブレム用として販売していたが、既述のとおり2025年3月期より自動車向けの販売も立ち上がっており、欧州向けも含めて今後はさらに顧客数、搭載車種数が拡大する見通しとなっている。一方、日本市場については採用に慎重なメーカーが多いようで、3ヶ年で大きな成長を見込んでいない。当面は、環境配慮型の新製品を開発し訴求していく。収益性については、ボリューム拡大に伴うフィルム工場の操業度アップ、並びに成形工場(国内/米国)におけるロボット導入や検査工程の自動化を進めることで安定供給体制の構築と利益率向上を目指す。また、米国以外でもパーツ成型品の需要が拡大すれば、現地で製造工場を整備することも検討していく。
(3) グループシナジーの最大化とさらなる深化
同社では資本提携先とのシナジー創出と関係深化に取り組むと同時に、既存事業の周辺領域におけるM&Aやさらなる新規事業の開発などの可能性についても模索していく考えだ。
2023年5月に資本業務提携を発表したRP東プラとの取り組みでは、同社のパッケージソリューション分野とRP東プラの容器事業の生産最適化の検討を進めているほか、環境対応製品の共同開発、取引先や製商品のクロスセルによる相互売上高の拡大、共同購買、共同物流など各テーマで定期的に協議を進めている。まだ具体的なスケジュールは決まっていないものの、3ヶ年のなかでシナジーを創出したい考えだ。また、関係深化に向けてさらなる追加出資を行う可能性もある。
プラスチック総合加工メーカーであるRP東プラの連結売上高は、2024年3月期で231億円と同社と同規模であり、国内外に広範な生産体制を構築し(海外はインドネシア、ベトナム、マレーシアに製造販売子会社を保有)、自動車や家電製品など幅広い業界で事業展開している。なかでもPETシート(部品トレー、食品包装材など向け)で高シェアを持ち、同社と事業領域や製品が重なる部分も多いため、生産や購買・物流など両社が持つ経営リソースの共有化によるシナジー効果は大きいと弊社では見ている。
そのほかM&Aや新規事業開発への投資についても引き続き検討しており、ターゲットとしては既存事業である樹脂加工に近い分野で既存事業と接合する分野、また樹脂加工の隣接分野で既存事業に付加価値を付与する分野、さらには同社の強みが生かせる新規分野への投資を検討している。M&Aの資金としては30億円を上限に考えており、資金の調達手段については機動的に判断していく。
(4) 従業員のエンゲージメント向上
従業員のエンゲージメント向上施策として、(1)グループ人財育成の強化・推進、(2)健康経営の推進、(3)業績向上に資する報酬還元、の3点に取り組んでいる。人財育成においては自ら育つ社員を醸成する教育システムを構築するとともに各種研修体系を整理し、一定水準以上の継続的な費用を投入していく。また、3ヶ年の計画期間において年率3~5%の賃金アップと人員増を進めることで、2027年3月期の人件費は2024年3月期比で20%増を計画している。事業セグメントや地域、役割、成果に応じて積極的に報酬を還元し、モチベーションアップにつなげていく考えだ。
3年間の設備投資総額は51億円を予定、D/Eレシオは0.4倍水準を見込む
4. 財務戦略
同社は2025年3月期からの3年間を成長基盤構築のための投資期間と位置付けており、3年間累計で51億円の設備投資を計画している。直近3年間の設備投資額約31億円(有形固定資産取得額)に対して約1.6倍の水準となる。内訳は、既存設備の更新投資で17億円、成長投資で34億円を計画している。成長投資については、金属調加飾フィルムの製造設備や国内外の成形設備の増強、及び効率化投資のほか、拡大を見込む成熟分野への増強、効率化投資を想定している。設備投資資金の原資は営業キャッシュ・フローで大半をまかない、足りない部分については有利子負債で調達する予定で、D/Eレシオ(有利子負債比率)は0.4倍程度の水準(0.3~0.5倍を目安)を見込んでいる。
また、3年間のキャッシュアロケーションの考え方については、設備投資資金51億円と配当金などの株主還元資金7.6億円超のキャッシュ・アウト分を、営業キャッシュ・フロー46億円と有利子負債12.6億円超でまかなう格好となる。M&A資金が必要となった場合には別途、調達手段を検討する考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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