Jトラスト Research Memo(3):韓国及びモンゴル金融事業で改善が進み、業績に大きく寄与
Jトラストの2024年12月期第3四半期の業績動向について、特に韓国とモンゴルの金融事業での改善が注目されます。韓国では、景気の悪化と不良債権の増加による挑戦がありましたが、預金減少による利息費用の削減が損失を抑えました。JT親愛貯蓄銀行とJT貯蓄銀行では、戦略的に貸出を抑制しつつ不良債権管理を強化しています。東南アジアの事業では、特にインドネシアのJトラスト銀行が良好なリスクマネジメントと低位の不良債権比率で好調を維持しています。不動産事業や投資事業では、不動産取扱件数の増加や回収訴訟での進展を見せていますが、利益面での課題も抱えています。総じて、地域及びセクターごとに異なる課題と成功がある中、全体として業績改善を目指しています。
2. 事業セグメント別動向
(1) 日本金融事業
債務保証残高は、2024年9月末には2,451億円へ増加した。保証残高の8割を占める賃貸住宅ローン(アパートローン)保証のうち、2020年11月から開始した中古アパートローンの保証残高は引き続き順調に増加した。保証残高は、2024年12月末には合計2,500億円を計画している。同社グループは保証残高の大幅な拡大を目指して様々な取り組みを行っている。従来からのアパートローン保証だけでなく、有価証券担保ローン・海外不動産担保ローン・クラウドファンディング(融資型/不動産投資型)の保証・不動産買取保証といった保証商品の多角化を推進しており、徐々にその成果が表れている。
サービサー(債権回収)業務では、パルティール債権回収(株)では回収が順調で、債権の買い取りが進み、請求債権残高は2024年9月末には10,238億円へ増加した。債権回収においては、多様な債権回収事業会社出身者のノウハウを結集した国内トップクラスの回収力があり、保証業務と並び日本金融事業の利益の柱となっている。Nexus Cardでは割賦事業の好調により、営業収益16億円(前年同期比7億円増)、営業利益6億円(同6億円増)と損益分岐点を超えた。Jトラストグローバル証券(株)でも、プライベートバンキング及びIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザーを意味するIndependent Financial Advisorの略)事業が順調で、営業収益33億円(前年同期比7億円増)、営業利益3億円(同5億円増)と黒字化した。預かり資産は2024年9月末には3,866億円で、2024年12月末には4,300億円に拡大し、手数料の増加を計画している。
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
2024年12月期第3四半期の営業収益は34,554百万円(前年同期比3.1%減)、営業損失は72百万円(前年同期は1,652百万円の損失)となった。営業収益は貯蓄銀行業における貸出金の減少などに伴い、減収となった。営業損失は景気の悪化及び債権の不良化により債権売却損が増加した一方、預金の減少により利息費用が減少したことで損失幅が圧縮した。第2四半期までに引当金を積んできたが、不良債権化を抑制したことで、計画どおりの業績改善をもたらした。
JT親愛貯蓄銀行(株)の貸出残高は、不良債権増加やBIS規制遵守のため戦略的に個人向け貸出を抑制したことで、2024年9月末には2,278億円に減少した。貸出残高の減少に伴い不良債権比率は2024年9月末には9.46%に上昇したが、貸倒引当金を控除したネットでは2.61%と低位であった。JT貯蓄銀行の貸出残高は2024年9月末には2,063億円とほぼ横ばいで推移した。債権の質の良化を重視し、貸出残高をコントロールした結果である。また、不良債権比率は2024年9月末には9.47%になったが、貸倒引当金を控除したネットでは7.64%に留まった。JT親愛貯蓄銀行と比べてネット不良債権比率は高いものの、JT貯蓄銀行では法人向け貸出の割合が多く、大半が担保で保全されており問題はない。引き続き回収とモニタリングを強化することで、不良債権の抑制に注力する方針だ。
(3) 東南アジア金融事業
2024年12月期第3四半期の営業収益は35,580百万円(前年同期比29.3%増)、営業利益は2,310百万円(同56.6%増)となった。営業収益は、銀行業における貸出金の増加や新規貸出金利の上昇や貸倒引当金の戻し入れ等により増収となった。営業利益は、優良な貸出金の積み上げによる利息収益の増加などにより増益となった。
a) Jトラスト銀行インドネシア
Jトラスト銀行インドネシアにおける、2024年12月期第3四半期の営業収益は222億円(前年同期比54億円増)、営業利益は20億円(同10億円増)となった。法人大企業や国営企業を中心とする貸出残高は2024年9月末には2,673億円と、順調に増加した。不良債権化抑制と回収による不良債権の圧縮に加え貸出残高の増加もあり、不良債権比率はインドネシア銀行業界平均の2.3%(2024年8月)を下回る1.20%の低位で推移し、貸倒引当金を控除したネットでは0.91%であった。リスクマネジメントを強化した成果が表れたと言える。預金残高も3,247億円(2024年9月末)に増加した。預金金利は5.89%とやや上昇したが、インドネシアの政策金利(中央銀行の民間銀行への貸出金利は2024年9月時点で6.00%)より低位で推移したこともJトラスト銀行インドネシアの好業績に貢献した。
b) Jトラストロイヤル銀行
カンボジアのJ Trust Royal Bank Plc.(以下、Jトラストロイヤル銀行)では、2024年12月期第3四半期の営業収益は119億円(前年同期比19億円増)、営業利益は16億円(同6億円増)となった。貸出金利の上昇及び円安の影響により、増収増益となった。貸出残高を引き続き戦略的にコントロールして質の向上を進めており、2024年9月末には1,363億円に減少した。カンボジア経済が中国経済悪化の影響を受けていることを主因に、不良債権比率は7.76%、貸倒引当金を控除したネットでは1.92%となった。引き続き担保物件の競売や法的手続き等による回収とモニタリングを強化し、不良債権比率の抑制に努める方針だ。一方、2024年9月末の預金残高は1,402億円、預金金利は3.90%となった。預金残高は、貸出とのバランスを考慮してコントロールしている。
(4) 不動産事業
不動産事業については、主にJグランド(株)、グローベルス<193a>及び(株)ライブレントが国内で、Prospect Asset Management, Inc.が米国ハワイ州で、それぞれ不動産事業を行っている。ライブレントは賃貸管理会社で利益貢献は小さく、Jグランドとグローベルスが大半の利益を稼いでいる。2024年12月期第3四半期の営業収益は、Jグランドにおける不動産取扱件数の増加やライフブレントの子会社化により不動産販売収益が増加したことにより、14,686百万円(前年同期比34.6%増)の増収となった。ただ、営業利益は前年同期に計上したミライノベートの吸収合併により生じた負ののれん発生益10,113百万円のはく落に伴い、651百万円(同94.0%減)に減少した。
(5) 投資事業
投資事業については、主にJTRUST ASIA PTE. LTD.(Jトラストアジア)が投資事業及び投資先の経営支援を行っている。2024年12月期第3四半期の営業収益は5百万円(前年同期比95.7%減)となり、またGroup Lease PCLにかかる訴訟費用(弁護士費用)が増加した一方、訴訟の判決により同社からの回収金を計上したことで1,221百万円の営業損失(前年同期は1,583百万円の損失)となった。2023年4月には、シンガポール高等法院において被告のGroup Lease PCLらに対して約124百万米ドル(約18,173百万円、1米ドル=146円換算)と、これに対する2021年8月からの利息の支払い等を命じる判決が下り、2024年1月に判決が確定し、2024年5月には約855百万円を回収した。同社では裁判で争った金銭債権に対して既に全額貸倒引当金を設定しており将来の回収金は利益計上される。今後も回収に注力することでグループ業績に貢献する計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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