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児玉化 Research Memo(4):2025年3月期は各利益が大幅増の見通し。新規取引の量産化で収益に厚み(2)


*11:44JST 児玉化 Research Memo(4):2025年3月期は各利益が大幅増の見通し。新規取引の量産化で収益に厚み(2) ■児玉化学工業<4222>の業績動向

3. 事業構造改革及び事業再生計画の完了
同社は長く収益の悪化に苦しんできたが、構造的な事業改革を徹底して行ってきた結果、筋肉質な経営体質に転換した。同社が着手した事業構造改革は、時系列的に以下のとおりである。

同社は2016年3月期に債務超過となったが、これは会計上の純資産を637百万円と計上したところ、東証の内規によって非支配株主持分647百万円を引く必要があり、結果として東証の基準で9百万円の債務超過に転落したことによる。この判定によって、上場廃止基準にかかる猶予期間に入った。

しかし、インドネシア子会社であるPT. Echo Advanced Technology Indonesia(インドネシア)の株式の一部譲渡によって、出資比率を60.0%から39.2%に引き下げ資本構造を改善するとともに、持分変動利益として321百万円を計上した。さらに、自己資本の増強として第三者割当による新株予約権を発行し、2017年3月期中に新株予約権の行使によって171百万円の増資を実施したことにより、2017年3月期の純資産は1,273百万円と債務超過を解消した。

さらに、Echo Advanced Technology Indonesiaについて、残りの出資部分を2018年3月に200百万円で完全に譲渡したことで、インドネシアから完全撤退した。これは同社にとって苦渋の決断となったものの、モビリティ事業に関して言えば、新技術を活用した高付加価値品により販売が拡大する見込みの日本、そして需要が回復しているタイに経営資源を集中することで、全体で上向きが期待できる状況に変化したと言える。

2020年4月には、債権者であるすべての金融機関(9社、対象債権68億7,934万円)から同意を得て、ADR手続による事業再生計画を成立させた。

2020年2月には、投資ファンドを運営しているエンデバー・ユナイテッド(株)が組成する投資事業有限責任組合(EU投資組合)との間でスポンサー支援による合意書を締結した。これにより、EU投資組合を割当先として増資などのスポンサー支援のほか、エンデバー・ユナイテッドから金融支援及び人的支援を受けた。具体的には、対象となる債権のうち総額23億円の貸付金債権をEU投資組合に1億円で譲渡し、EU投資組合はこのうち額面20億円相当を現物出資する形でデット・エクイティ・スワップし、3億円は債権放棄する。この債権譲渡は2020年6月30日に完了した。

債権譲渡後の債権残高(45億7,934万円)については、事業再生計画の最終年度である2023年6月末まで元本残高を維持し、年度収益に基づく現預金残高の増加額は原資として返済するとともに、資本増強策としてEU投資組合を割当先とする新株発行を実施し、総額10億円を資金調達した。

これらの施策が期をまたいだため2020年3月期は債務超過となったものの、デット・エクイティ・スワップ及び新株発行による金融支援などにより、2021年3月期第1四半期には債務超過を解消した。なお、一連の施策によって、2024年3月期末時点での自己資本比率は27.7%(前期末は29.2%)となった。

生産体制については、事業部ごとの独立管理体制を一元管理化へと抜本的に見直した。これにより、住宅設備の製造工場で、需要が拡大している自動車関連製品を製造するといった、製造拠点の再構築を進めた。西湘工場から埼玉工場への生産移管が該当し、これによって生産効率の向上、外部流出費用等の削減を進め、収益改善に結び付いた。このような構造改革と徹底したコスト削減により、収益が改善した。

こうした施策が実り、2023年6月30日に借入を実行したことにより返済原資を確保した。事業再生ADR債務を全額返済し、事業再生計画期間を終了させ、児玉化学工業は新たなステージに向け歩み出した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

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