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Mimaki Research Memo(1):「Mimaki V10」に向け、資本コストと株価を意識した経営も強化


*14:01JST Mimaki Research Memo(1):「Mimaki V10」に向け、資本コストと株価を意識した経営も強化 ■要約

1. 産業用インクジェットプリンタなどをワンストップで製造販売する開発型企業
ミマキエンジニアリング<6638>は、産業用インクジェットプリンタやカッティングプロッタ、プリンタに使われるインクなどをワンストップで製造販売する開発型企業である。販売市場は、広告・看板などを製作するSG(サイングラフィックス)市場、工業製品や一般消費者向け小物類の加飾をするIP(インダストリアルプロダクツ)市場、生地や既製服を捺染するTA(テキスタイル・アパレル)市場の3つで、海外の売上高構成比が約70%とグローバルな事業展開を行っている。各市場の製品買い替えサイクルは4~5年のため、順番に新製品を投入することで毎期売上高を積み上げる収益構造になっている。産業プリントの市場のデジタル化率は、SG市場では高まっているものの、その他の市場は5~10%に過ぎず、成長のポテンシャルは非常に大きいといえる。

2. インクなどケミカル分野を含む独自開発技術などによる複合的技術基盤が同社の強み
同社の強みは、産業用プリンタにおける複合的な独自の技術基盤にある。なかでもインクは、「水と空気以外なら何にでもプリントできる」ことを目標に開発している。多種多様な素材にプリントできる高機能インクは、幅広い市場でインクジェットプリンタを展開するうえで差別化要素となるうえ、消耗品ビジネスとして安定収益ももたらしている。ほかにXY制御技術やインクを吐出するヘッドの制御技術、デジタル・オンデマンド生産方式による受注生産、多品種少量ニーズへのワンストップ対応、工場のスマート化を進めるFA(ファクトリーオートメーション)技術、グローバルでローカルな営業力も強みである。なお、同社はヘッドを自社製造していないが、ニーズに応じて市場から最適な調達ができるため、むしろ製造していないことも強みとなっている。

3. 営業強化や採算改善により2025年3月期も引き続き2ケタ営業増益、最高益更新へ
2024年3月期の業績は、売上高が75,631百万円(前期比7.1%増)、営業利益が5,480百万円(同29.2%増)となり、過去最高を更新した。売上面では、2023年3月期に伸長したSG市場向けとIP市場向けのプリンタは減少したが、TA市場向けに投入したDTF(Direct to Film)機が先進国を中心に販売好調、インクの販売も堅調に推移した。利益面では、2023年3月期に調達した半導体など高コスト部材の影響はあったが、販売価格の見直しに加え為替のプラス効果などもあって大幅増益となった。同社は2025年3月期の業績見通しについて、売上高80,800百万円(前期比6.8%増)、営業利益6,500百万円(同18.6%増)を見込んでいる。営業強化などによりすべての市場で増収を見込むほか、高コスト部材の使用が進んだことから、2ケタの営業増益を予想している。

4. 「Mimaki V10」を視野に、2025年3月期を「次世代のミマキ」に向けて進化する1年とした
2ケタ増益を継続しているため、営業利益率が10%に向けて向上するなど、中長期成長戦略「Mimaki V10」目標が視野に入ってきた。このため2025年3月期のグループ経営方針を「進化する」と定め、そのためにも資本コストと株価を意識した経営を強化し、ROEとROICそしてPERの改善に取り組むこととなった。具体的な対策は、1) 「Mimaki V10」目標の達成による収益改善、2) 将来成長実現に向けた戦略的な投資、3) 在庫及び借入金の適正化による財務基盤の強化、4) 企業価値向上に資する役員報酬制度の導入、5) 株主還元方針に基づく安定的・継続的な配当、6) 投資家との対話促進による資本コストの低減の6つで、対策を着実に実行するため、組織変更を行ってコーポレート機能の充実も図った。

■Key Points
・独自の産業用インクジェットプリンタなどをワンストップで製造販売する開発型企業
・営業強化や採算改善などにより2025年3月期も引き続き2ケタ営業増益を予想
・経営方針を「進化する」と定め、資本コストと株価を意識した経営を強化の方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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