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ファーマF Research Memo(5):BtoC事業は「ニューモ(R)育毛剤」を主力に製品ラインナップを拡充


■ファーマフーズ<2929>の事業概要

2. BtoC事業
BtoC事業は、「発明企業の通販事業」として、同社独自の機能性素材を配合したサプリメント及び医薬部外品(「タマゴ基地(R)」ブランド)並びに化粧品(「フューチャーラボ」ブランド等)の商品を販売している。販売形態は、通信販売方式による消費者への直接販売またはショッピング専門チャンネルへの卸売販売となる。また、2022年7月期第2四半期より明治薬品の新事業「リピート通販事業」を新たに追加した。

主な製品としては、「iHA(R)」配合の膝関節用サプリメント「タマゴサミン(R)」や医薬部外品育毛・発毛促進剤「ニューモ(R)育毛剤」、化粧品では活性卵殻膜配合の化粧品クリーム「珠肌ランシェル(R)」「珠肌のうみつ(R)」や角質ピーリングゲル「デルマQII(R)」などがある。2021年2月には、医薬品通販市場参入第1弾として第3類医薬品「ハスV(ハスファイブ)」の販売も開始した。このほか、クロスセル販売でロート製薬のアイケアサプリメント「ロートV5粒アクトビジョン」等を2022年7月期より展開している。

アイテム別では、育毛・発毛促進剤「ニューモ(R)育毛剤」が発売からわずか2年でヘアケア市場における売上NO.1を達成するヒット商品となったことで、全体の収益に大きく寄与している。また化粧品分野では、永久白髪染毛剤「ヘアボーテ(R) エクラ ボタニカルエアカラーフォーム」(医薬部外品)の売上も急拡大している。このほか、2022年7月期より販売を開始したまつ毛美容液「まつ毛デラックス WMOA」や、「ロートV5粒アクトビジョン」等のクロスセル販売も好調に推移している。

なお、BtoC事業の収益構造については、広告宣伝費と売上高の発生時期が異なる構造となっているため、注意が必要である。具体的には、広告宣伝費は顧客獲得時に計上するものの、売上高は定期コース継続中にわたって計上しているため、新規顧客獲得に注力すると一時的に費用が増えることになる。


独自技術「ALAgene(R) technology」を用いた創薬事業を展開

3. バイオメディカル事業
バイオメディカル事業は、同社独自のニワトリ由来抗体作製技術「ALAgene(R) technology」及びニワトリ卵黄由来の生理活性ペプチド開発技術を用いた創薬事業を行っている。また、2022年4月1日付で吸収分割が完了したアンテグラルの「プロテオーム解析事業」を新たに追加した。

「ALAgene(R) technology」は、従来技術では作製困難な創薬ターゲット分子に対する抗体作製を可能とする同社の基盤技術である。この技術を用いて「自己免疫疾患」「悪性腫瘍」を対象疾患とした抗体医薬の研究開発を行っている。また、同社が開発したニワトリ卵黄由来のペプチド「リプロタイト(R)」は、骨形成に関与する生理活性物質として単離・同定に成功したペプチドであり、重要なパイプラインの1つとして開発を進めている。

また、機能性素材全般に関わる研究開発から得られた技術等を基に、外部企業からの分析・効能評価試験等を受託するLSI(Life Science Information)事業も行っている。同社の技術力を有効活用し、機能性に関するデータ取得やその分析、各種素材の成分分析、精製品の作成依頼等、食品を中心とした各メーカーの研究開発をサポートしている。

ビジネスモデルとしては、非臨床試験までは同社で開発を進め、臨床試験以降の開発候補抗体の製造、開発及び販売をライセンス供与した製薬企業が行うことで、共同研究一時金、契約一時金、開発マイルストン、上市後の販売ロイヤルティ、販売マイルストンなどのライセンス収入を得る。「自己免疫疾患プロジェクト」においては、2018年10月より2年間、田辺三菱製薬と抗体医薬に関する共同研究を推進した結果、2021年1月に独占的ライセンス契約を締結した。

4. リスク要因・収益特性と対策
リスク要因としては、競合、製品開発・技術革新への対応遅れ、特定製品への依存度、医薬品医療機器等法(薬機法)や食品衛生法等の法的規制、個人情報保護などが挙げられる。

競合については、BtoB事業で主力の「ファーマギャバ(R)」がGABA生産でトップシェアであることなどから、当面は競合激化の懸念は小さい。

BtoC事業は消費者の嗜好や購買行動の影響を受け、広告宣伝費の増大と売上計画からの下振れ、特定製品への依存度の高さなどがリスク要因となる。現状は育毛・発毛促進剤「ニューモ(R)育毛剤」への依存度が高いものの、まつ毛美容液「まつ毛デラックス WMOA」や独自素材エッグプラセンタ(R)美容液など、新製品の開発を積極的に推進し、製品ラインナップを拡充することで依存度リスクの低減を図る方針だ。また、売上やCPO※の動向を見ながら広告宣伝費を流動的にコントロールすることで、広告宣伝費負担リスクの低減を図っている。なお、BtoC事業においては、期の前半に広告宣伝を重点的に実行し、後半に定期顧客のリピート購入が増加するため、売上高・利益とも下期偏重の収益特性を強めている。

※Cost Per Orderの略で、顧客1件を獲得するために要した広告宣伝費のこと。


バイオメディカル事業においては、新薬の開発から上市までに長期間を要するため、将来の不確実性(開発遅延や中止など)リスクが存在する。これに対して同社は、事業推進の際に市場性や実用化の可能性などに関して慎重な判断を行い、長期間における事業計画を策定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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