システムサポート Research Memo(5):ソリューション事業は「ServiceNow」関連等が高成長
2. 事業セグメント別動向
(1) ソリューション事業
ソリューション事業の売上高は前年同期比14.2%増の6,565百万円、セグメント利益は同16.2%増の1,613百万円となった。システムの維持運用の効率化に向けたDX支援ソリューションとなる「ServiceNow」関連や、Microsoft AzureやAWS、Google Cloudなどのパブリッククラウドへの移行・利用支援案件の受注が好調に推移したほか、データベース関連やERP関連、その他受託開発案件なども堅調に推移し、売上高は過去最高を更新した。また、高利益率の「ServiceNow」関連の売上高が大きく伸長したことにより、利益率も前年同期比0.5ポイント上昇の24.6%と過去最高を更新している。
分野別の売上動向を見ると、「ServiceNow」関連は前年同期比38.7%増の721百万円と高成長を持続した。旺盛な需要に対応すべく、技術者の育成や外部パートナーの拡充に取り組んだことが売上高の高成長につながっている。国内での「ServiceNow」認定構築資格取得者数は2021年9月末時点で2位※となっており、参入企業が増えるなかでも高い競争力を維持している。顧客も従前は東京や大阪の企業が大半であったが、最近は名古屋や石川エリアの案件も増加しており、能力に対して需要が上回る状況が続いている状況にある。
※Certified Implementation Specialist/Certified Application Developer/Certified Application Specialistを対象。1位はアクセンチュア。
パブリッククラウド関連の売上高は前年同期比33.8%増の795百万円(うち、リセールは同45.6%増の501百万円)となった。Microsoft AzureやAWSへのクラウド移行案件に加えて、2020年4月より開始したGoogle Cloudの案件が増加している。引き続き認定技術者の育成・増員に取り組んだことが好調な売上につながっている。なお、リセールとは顧客アカウントのクラウドサービス利用料のことで、利益率は低いものの解約が無ければ安定した収益源となる。
そのほか、ERP関連やデータベース関連はそれぞれ前年同期比で10%超の増収となり、その他ITシステム(請負開発)についても同5%増と堅調に推移した。ERP関連ではSAP社の既存製品の保守サポートが2027年で切れることから、導入企業で既存製品から「SAP S/4 HANA」へ移行する動きが継続している。また、同社はERPの保守に関してニアショア対応可能な体制を北陸地区で構築しており、ERPのコンサルティングから開発、インフラ構築、保守サービスまでワンストップで対応できることも売上成長の一因になっていると考えられる。また、Oracleのデータベース関連についてもクラウドシフトが進みつつあり、同社でも認定技術者の育成に取り組みながら受注案件を獲得し、売上増につなげている。
(2) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業の売上高は前年同期比3.1%増の916百万円、セグメント利益は同7.4%減の275百万円となった。AI関連サービスなどを含めたデータセンター運用業務の売上高はプライベートクラウドを構築する企業向けを中心に同5%増と順調に増加したが、能力拡大を目的としたサーバー増強投資を実施したことによる減価償却費の増加が減益要因となった。データセンターの月額利用料金については右肩上がりに積み上がっており、直近では月額90百万円を超える水準となっている。
(3) プロダクト事業
プロダクト事業の売上高は前年同期比10.4%増の295百万円、セグメント利益は同22.8%増の170百万円となり2年ぶりに過去最高を更新した。「MOS」(モバイル受発注システム)、「就業役者」(勤怠・作業管理システム)及び「SHIFTEE」(クラウド型シフト管理システム)などの販売が好調に推移した。「MOS」についてはEC市場拡大が、また、「就業役者」についてはリモートワークなどの多様な働き方を導入する企業の増加が追い風となっている。増収効果によって利益率も前年同期の51.7%から57.5%に上昇している。
なお、2021年12月末の主要製品別の累計導入社数は、「建て役者」が657社(前年同期比8.2%増)、「MOS」が531社(同29.8%増)、「SHIFTEE」が94社(同28.8%増)、「就業役者」が96社(同84.6%増)となっている。「建て役者」と「MOS」が収益の柱となっており、2016年から販売を開始した「SHIFTEE」も前期から黒字化している。2018年から販売を開始した「就業役者」については、機能改良などの開発を継続していることから収益化までにはまだ時間を要すると見られるが、導入社数が順調に増加していることから、早晩黒字化するものと見込まれる。
財務内容は健全で自己資本比率の上昇傾向続く
3. 財務状況と経営指標
2022年6月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比351百万円増加の7,013百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では事業の拡大に伴い現金及び預金が143百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が378百万円それぞれ増加した。また、固定資産では有形固定資産が36百万円、投資その他の資産が37百万円それぞれ減少した。
負債合計は前期末比159百万円増加の3,828百万円となった。有利子負債が490百万円増加した一方でその他の流動資産が減少した。なお、有利子負債の増加は季節要因によるもので、前年同期末との比較では41百万円減少している。純資産合計は前期末比191百万円増加の3,184百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益の計上及び配当金支出などにより、利益剰余金が190百万円増加した。
経営指標について見ると、自己資本比率は収益の拡大に伴って前期末の44.9%から45.4%と上昇傾向が続いている。一方で、有利子負債比率は31.8%から45.3%に上昇したが、季節要因による影響が大きく期末には低下しているものと予想される。このため、ここ数年は収益成長とともに財務の健全性も向上しているものと判断される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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