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三光MF Research Memo(3):事業ポートフォリオ転換を推進


■三光マーケティングフーズ<2762>の事業概要

1. 事業概要
首都圏を中心に居酒屋業態等の飲食チェーンを展開している。従来は「金の蔵」「月の雫」「東方見聞録」といった都心繁華街立地の空中階・地下階大型店舗中心の総合型居酒屋業態を主力としていた。しかし2008年のリーマンショック以降の事業環境の変化に対応して、コロナ禍以前からいち早く事業ポートフォリオ転換を推進している。

2014年以降は収益性の高い郊外住宅街立地の低投資・路面型小型店舗中心の大衆酒場業態「アカマル屋」、日常食業態「焼肉万里」などの出店を推進している。一方で、従来の主力であった固定費負担の大きい大型店舗中心の総合型居酒屋業態の閉店を加速している。さらに2020年以降は、官公庁を中心とする飲食施設の運営受託、沼津我入道漁業協同組合と業務提携した水産事業プロジェクトを推進し、新しい生活様式に対応した無店舗の弁当事業やECサイト「通販ひとま」も開始している。

今後の主力となる業態・ブランドの概要は以下のとおりである。

1) 大衆酒場業態「アカマル屋」
笑顔が集う大衆酒場をコンセプトにした昔ながらの店構えやコストパフォーマンスの高さを特徴としている。

2) 日常食業態「焼肉万里」
肉問屋が厳選した肉だけを直送で取り寄せるため、低コストで高級焼肉店のような上質の肉を楽しめることを特徴としている。

3) 日常食業態「東京チカラめし」
創業当時に提供していた牛丼という原点に立ち返りつつ、牛丼から進化した焼き牛丼を提供している。

4) 日常食業態「パスタmama」
リーズナブルに本格的なイタリアの味が楽しめるスパゲティ専門店。

5) 日常食業態「まるが水産」「まるがまる」
沼津我入道漁業協同組合との水産事業プロジェクトでスタートした。朝獲れ鮮魚販売コーナーを併設した沼津発信の「魚が買える寿司屋」である。


コロナ禍以前から事業環境変化にいち早く対応
2. リスク要因・収益改善に向けた施策
飲食業界のうち、特に居酒屋業態においては、生産年齢人口減少による市場縮小、特徴のある専門店・個店の台頭や消費者ニーズの変化による大型店舗の総合型居酒屋業態離れ、食材価格やアルバイト人件費の上昇など構造的な逆風の流れがある。そして2008年のリーマンショック以降は、不況による個人消費低迷、ライフスタイル・消費者ニーズの多様化、企業の働き方改革推進などを背景とする大人数宴会需要の減少などで、大型店舗の総合型居酒屋業態への逆風が強まった。

さらにコロナ禍に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で、店舗臨時休業・営業時間短縮・酒類提供自粛が求められ、飲食業界の中でも特に居酒屋業態が大きな打撃を受けている。

同社は消費者の総合型居酒屋業態離れなどで売上高が減少傾向となり、さらに2017年6月期に当期純損失、2018年6月期に営業損失を計上したことを契機として、大型店舗の総合型居酒屋業態への逆風という事業環境変化への対応に着手し、2020年のコロナ禍以前からいち早く事業ポートフォリオ転換を進めている。

2014年以降は郊外住宅街立地の低投資・路面型小型店舗を中心とする大衆酒場業態や日常食業態の出店を推進している。一方で2019年以降には、従来の主力であった都心繁華街立地の空中階・地下階大型店舗中心の総合型居酒屋業態の閉店を加速し、事業規模を縮小している。

コロナ禍も背景として当面の合計店舗数は減少するが、大型店舗撤退によって高固定費(賃借料、人件費)負担が減少して収益圧迫要因が軽減化されるともに、経営のコントロールが効きやすくなり、人材不足も解消して店舗運営に係る品質向上の効果も期待されている。

さらに居酒屋業態以外の収益柱構築に向けて、官公庁を中心とする飲食施設の運営受託、沼津我入道漁業協同組合と業務提携した水産事業プロジェクト、移動販売事業、ふるさと納税関連事業などの展開も推進する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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