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タナベ経営 Research Memo(4):2017年3月期は増収増益を見込む


■業績見通し

(1) 2017年3月期業績見通し

タナベ経営<9644>の2017年3月期の業績は、売上高が前期比2.4%増の8,500百万円、営業利益が同1.0%増の865百万円、経常利益が同1.6%増の900百万円、当期純利益が同1.3%増の590百万円と期初会社計画を据え置いている。第2四半期までの進捗率は、売上高で43.4%、営業利益で47.0%となっている。直近3年間の平均(売上高43.1%、営業利益43.7%)と比較すると、営業利益の進捗率が高くなっていること、上半期においては事業所の移転・統合関連費用で40〜50百万円の一時的費用が計上されているが、下半期では人件費関連以外には費用増要因がないことなどから、利益ベースでは会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

市場環境としては、為替変動や、新興国経済の減速、米国の政治動向等による世界経済の反転リスクにより先行き不透明感が続くなかで、同社が主力ターゲットとする中堅企業のコンサルティングニーズとしては、中長期的に持続的な成長を実現していくためのビジネスモデルのデザイン構築や、次代を担う人材の採用・育成をテーマとした案件の需要が旺盛にあると見ている。

同社ではこうしたニーズを取り込むため、ドメイン(事業戦略)&ファンクション(組織戦略)コンサルティングや戦略キャンプ、次世代経営支援(ジュニアボード)コンサルティング(事業承継)、SPコンサルティングや、人事・採用コンサルティング、人材育成コンサルティングなどの受注獲得に注力していく方針だ。

また、経営コンサルティング事業とSPコンサルティング事業の拠点統合の効果も着実に出始めている。2016年1月に東京オフィスを統合したのに続き、7月には名古屋オフィスも統合し、大阪オフィスと合わせて、SPコンサルティング事業の拠点はすべて統合を実現している。情報の迅速な共有化や同行営業による共同提案も容易となり、1顧客当たり売上高の増加や、SPコンサルティング事業の収益性改善に寄与していくものと期待される。

セグメント別の業績見通し(期初計画)は、経営コンサルティング事業が売上高で前期比0.9%増、セグメント利益で同1.7%増を見込んでいる。引き続き、戦略ドメイン&マネジメント研究会やセミナーを導線としてチームコンサルティング型経営協力の契約数増加に注力していく。特に、最近では研究テーマを更に深掘りした拡大・サテライトセミナーの開催も積極的に増やしている。テーマをより絞った内容にすることで、参加顧客に対するコンサルティング契約の受注獲得の確度を高めていく戦略だ。

なお、研究テーマのうち、「食品・フードサービス」「ヘルスケア」「住まいと暮らし」については需要が旺盛なことから、2017年4月より研究会からインキュベートした専門部門を東京本部内に新設し、コンサルタント人員を増員して全国規模でコンサルティングを強化していく方針となっている。

SPコンサルティング事業の売上高は前期比4.2%増、セグメント利益は同25.0%増となる見通し。SPコンサルティングでは引き続き、「こども・子育てファミリーマーケット」をターゲットとしたコンサルティングの受注活動を強化していく。2016年9月に「こども・子育てファミリーマーケット成長戦略」をテーマとした研究会を開催しており、同研究会への参加企業等を有力見込み客として開拓していく方針だ。

同社は全日本私立幼稚園連合会が提唱、発起した全国約8,000の私立幼稚園が参加する「こどもがまんなかPROJECT」に参画しており、様々な刊行物の発行やフォーラム開催、各種広報活動のほか、サポーター企業に対してSPコンサルティングを行っている。こども・子育てマーケットとしては約400万人(私立幼稚園園児数約130万人、PTA数約260万人、教職員数約9万人)と大きく、当初は大企業が中心であったが、ここ最近では中堅企業などもマーケティング戦略の一環として、サポーター企業として参画するケースも増えてきている。同社では、今後も需要の掘り起こしを進めていくことで、SPコンサルティングやSPデザインツールなど高付加価値案件の売上規模を拡大していく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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