ハピネット Research Memo(4):「妖怪ウォッチ」に替わる商品がなく、主力の玩具事業は減益
(1) 2017年3月期第2四半期の業績概要
a)損益状況
ハピネット<7552>の2017年3月期第2四半期の連結業績は、売上高72,448百万円(前年同期比13.7%減)、営業利益844百万円(同54.0%減)、経常利益741百万円(同60.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益329百万円(同72.2%減)となった。売上高の低迷により在庫圧縮を進めたことから、2017年3月期第2四半期の在庫処分金額は515百万円(前年同期は825百万円)にとどまった。
大ヒットした「妖怪ウォッチ」に替わるヒット商品がなかったことから主力の玩具事業が減益となったことに加え、アミューズメント事業もリード商材がなかったことから減益となった。映像音楽事業は減収ながらメーカー部門の収益が改善したことから微増益となった。ビデオゲーム事業は売上高は大幅減となったが、在庫評価損の減少によりわずかだが損失幅が縮小した。
各事業の状況は以下のようであった。
1)玩具事業
売上高は31,585百万円(前年同期比9.1%減)、セグメント利益は768百万円(同38.9%減)となった。「仮面ライダーゴースト」や「魔法つかいプリキュア!」などバンダイの一部商品は堅調に推移したが、そのほかの商品が伸び悩み前年同期比では減収となった。また一昨年に大ヒットした「妖怪ウォッチ」が前年上半期には既に低下傾向にはあったものの、それなりの水準であったことも今上半期の減収要因になった。一方で損益面では、在庫処分金額は340百万円(前年同期は520百万円)と減少したものの、売上低迷による売上総利益の減少によってセグメント利益は大幅減となった。
メーカー別売上高では、主力のバンダイ製品が15,400百万円(前年同期比18.9%減)となったことから、構成比率は前年同期の54.9%から48.9%へ低下した。
2)映像音楽事業
売上高は16,516百万円(前年同期比4.8%減)、セグメント利益は146百万円(同1.6%増)となった。パッケージ市場全体が低迷するなかで同社の売上高も低調に推移したが、利益面では「ドラゴンボール超」や「アイカツ!」等の同社が発売元のアニメ作品が堅調であったことから、セグメント利益はわずかではあるが前年同期を上回った。
なお2015年12月、ブロッコリーが実施する第三者割当増資(4,059百万円)を引き受け、ブロッコリーが持分法適用関連会社となった。同社が有する様々な取引先との流通プラットフォームと最適流通システムを駆使した商品ニーズの把握力や商品提案能力、及びタイムリーで精度の高い物流システムを融合することにより、新コンテンツの開発、新しい顧客層・流通チャネルの開拓を両社共同して推進する計画だが、その第一歩として、ブロッコリーと新規レーベル「b-sound(ビーサウンド)」を発足した。「b-sound」においては、ブロッコリーが新規コンテンツを企画・製作し、同社が流通を担う。
3)ビデオゲーム事業
ソフト配信やスマートフォン向けゲームの普及の影響等によりパッケージ市場全体が低迷するなか、同社でもヒット商品の不足により売上高は14,302百万円(前年同期比29.2%減)となった。ただし利益面では在庫の処分金額が20百万円(前年同期は140百万円)へ減少したことからセグメント損失は36百万円(同50百万円の損失)とわずかながら改善した。
商材別売上高では、任天堂が10,100百万円(前年同期比35.2%減)、(株)ソニー・インタラクティブエンタテインメントが3,700百万円(同11.8%増)、その他が400百万円(同65.9%減)となったことから、任天堂の構成比率が前年同期の77.7%から71.2%へ低下した。
4)アミューズメント事業
売上高10,045百万円(前年同期比14.0%減)、セグメント利益642百万円(同44.4%減)となった。移動式を使ったイベント会場での販売など新たな施策を推進したが、カプセル玩具自動販売機、キッズカードゲーム機商材ともにリード商材が不在であったこと等から売上高、利益ともに前年同期を下回った。特に比較的利益率のよいカードゲームでのリード商材不在が利益を大きく下げる結果となった。
b)財政状況
2017年3月期第2四半期末の財政状況は、流動資産は46,006百万円(前期末比1,100百万円増)となったが、主に現金及び預金の増加608百万円、受取手形及び売掛金の減少131百万円、棚卸資産の増加1,964百万円などによる。棚卸資産が増加しているのは年末商戦に向けての在庫の積み増しであり、季節性である。固定資産は12,323百万円(同435百万円増)となったが、主な要因は投資その他の資産(主に投資有価証券)の増加332百万円による。その結果、四半期末の総資産は58,329百万円(同1,536百万円増)となった。
負債は27,706百万円(前期末比2,267百万円増)となったが、主に季節性による支払手形及び買掛金の増加2,756百万円、未払金の減少319百万円による。また純資産は30,623百万円(同731百万円減)となったが、主に自己株式の取得による減少1,090百万円、その他有価証券評価差金額の増加362百万円による。
c)キャッシュフローの状況
2017年3月期第2四半期のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローは2,470百万円の収入であったが、主な収入は税金等調整前四半期純利益の計上661百万円、仕入債務の増加2,772百万円などで、一方で主な支出は、棚卸資産の増加1,964百万円、法人税等の支払額396百万円などによる。投資活動によるキャッシュフローは418百万円の支出であったが、主に有形固定資産や無形固定資産の取得によるもの。財務活動によるキャッシュフローは1,430百万円の支出となったが、主な支出は自己株式の取得1,090百万円、配当金の支払額339百万円による。
この結果、2017年3月期第2四半期の現金及び現金同等物は608百万円の増加となり、四半期末残高は12,021百万円(前期末は11,412百万円)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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