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半導体株やIPO賑わうも「自律反発」の域出ずか


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;29099.93;+591.38TOPIX;1922.43;+34.25


[後場の投資戦略]

 前日の米国株の上昇や半導体関連株の賑わいで、本日の日経平均は大幅反発している。日足チャート上では29100円台前半に位置する75日移動平均線近辺まで上昇。米国ではここ数日、ヘッジファンドの売り越しが続いていたため、短期的に買い戻しが入る可能性があると指摘されていた。これは直近2日の日経平均の下げ幅が1200円に迫った日本株も同様だろう。23日には東京、大阪、京都、兵庫の4都府県を対象に緊急事態宣言が発令される見通しとなったが、過去の発令時の株価推移からは前もって大きく下落したのち、実際の発令を受けて買い戻しが入るとの指摘もある。

 新興市場でもマザーズ指数が+1.45%と3日ぶり反発。注目された転職サイト「ビズリーチ」のビジョナル<4194>は公募・売出規模がメルカリ<4385>以来の大きさとなるマザーズIPO(新規株式公開)だったが、結果的に公開価格を4割強上回る堅調な初値を付けた。弊社では5割程度のアップサイドを残した公開価格設定という評価だったが、おおむねその見立てに沿った動きだろう。また、同じくマザーズ上場のステラファーマ<4888>は公開価格を5割強上回る初値を付けたのちストップ高水準まで上昇。ジャスダック上場のネオマーケティング<4196>はまだ買い気配が続いている。直近上場の紀文食品<2933>やサイバートラスト<4498>が人気化したことで初値買い機運が再び高まったとみられるが、個人投資家の物色意欲も根強いのだろう。

 ただ、日経平均は直近2日の下落幅の半値戻し、それに75日線水準までの戻りにとどまっているところを見ると、自律反発の域を出ないとの印象だ。本日ここまでの東証1部売買代金は1兆1000億円程度で、半導体株物色や日本電産の決算先回りの動きなどを除けば、株価指数先物の買い戻し主導の上昇なのだろう。

 短期的な買い戻しの動きが想定される一方、かねて当欄で指摘している信用買い残の多さなどは上値の重しとして懸念される。東京証券取引所が20日発表した16日申し込み時点の信用買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は3兆1976億円(週間で304億円増)となり、およそ2年9カ月ぶりの大きさになったという。ゴールデンウィークの5連休前には手仕舞いの売りが出やすいと考えられる。

 個別株の信用取引状況にも注目しておきたい。本日賑わいを見せている東エレクは、信用買い残の水準にこそ過大感はないが、一方の売り残はヒストリカルで見ても低水準であり、これは先に決算発表した安川電<6506>に似たパターンという印象。また、本日の決算発表が注目される日本電産は売り残が継続的に少ない一方、買い残がかなりの規模に膨らんでいる。どちらのパターンもある程度の好決算を織り込んでいるとみられ、発表後の株価推移が気になるところだ。

 一昨日の当欄で「GW連休前後に日経平均は28000円台まで調整する場面も出てくる」と予想したが、海外勢の売りで早々に調整が進んだ。ここからは従前よりやや目線が切り下がり、28000円~29000円レベルでのもみ合いになるとみておきたい。
(小林大純)
<AK>
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