全国の高等学校におけるICT活用状況を調査 ――タブレット導入校の約2割が「1人1台配備」、情報モラル教育に懸念も
- 2019年02月21日 11:30:00
- マネー
- Dream News
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教育出版の株式会社旺文社(本社:東京都新宿区、代表取締役:生駒大壱)は、高等学校におけるICT機器・サービスの導入状況および活用の実態について、アンケート調査を実施いたしました。今回で3年目となる調査は、全国計1,189校の高等学校からの回答を集計。ICTの教育利用に関する近年の傾向と課題について、過去2年分の調査結果との比較を交えた分析結果を公開いたします。
この調査結果を受け、旺文社では、各高等学校の実情に則した教育ICTサービスの提供と、活用のためのサポートに取り組んでまいります。
※ICT:Information and Communication Technologyの略語。情報処理や通信に関する技術、設備の総称。
【調査結果サマリ】
●タブレット型PCを1台以上導入している高等学校は36.2%、「BYOD(※1)」の導入も進む
タブレット型PCを校内に1台以上導入している高等学校の割合は、昨年度調査から微増の36.2%となりました。生徒の私物端末を活用する「BYOD」を導入する動きも広がっています。
●タブレット型PCの配備は「生徒1人1台」とする高等学校が導入校の約2割に。個別利用に伴う課題も
タブレット型PC導入校のうち、「生徒1人に1台配備」している高等学校の割合は19.3%となり過去最多に。今後、導入の予定がある高等学校でも、過半数が「生徒1人に1台配備」を見込んでいる状況です。積極的な個別利用が進む一方で、「生徒の情報モラルの向上」を課題に挙げる教員の声が増加しました。
●教育改革の流れを受けて膨張・多様化するICT活用への期待と課題意識
2020年度大学入試改革を始めとする変革の機運を受けて、高等学校におけるICT活用に対しては、必要性と期待が同時に高まっているようです。特にICTと親和性が高い「英語4技能(※2)」指導や「eポートフォリオ(※3)」導入の場において、活用に対する期待感や課題意識を抱える声が多く聞かれました。
※1 「Bring Your Own Device」の略語。元々は企業などの団体組織において個人所有のモバイル端末を職場に持ち込み、それを業務目的の情報端末として運用するといった取り組み。
※2 英語能力の測定における、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4つの評価観点。大学入試において英語の4技能をバランスよく評価することが指針として掲げられ、それに基づいた新しい試験制度の導入が、2020年度から開始される見通し。
※3 高等学校における授業・行事・課外活動や資格・検定取得など、学校内外での活動や学びの成果をデータとして記録するもの。大学入学選抜において主体性を重視する文部科学省の方針のもと、生徒に対する評価基準としての活用が将来的に広がる見通し。
■高等学校でのICT機器と無線ネットワークの利用状況
全国の高等学校におけるICT機器の導入・使用状況を調べたところ、「大型提示装置(電子黒板・プロジェクター)」(78.5%)が、3年連続の回答数トップとなりました。同じく、「生徒用のPC端末(デスクトップ型)」(58.7%)や「実物投影機(書画カメラ)」(46.3%)といった、設置型のICT機器が多数となった一方で、「生徒用のPC端末(タブレット型)」(36.2%)や「生徒用のPC端末(ノート型)」(27.3%)など、持ち運び可能な生徒用端末の導入利用が、近年伸長していることがわかりました。〈図1〉
また、高等学校でのネットワーク環境の整備状況については、エリアの大小に限らず「無線でのネットワークを使用できる」と答えた高等学校の割合は合計で53.3%となり、過去3年間の調査を通し、初めて過半数を超えました。持ち運び可能なICT機器をネットワークに接続して活用できる環境の構築が、着実に進んできていることがうかがえます。〈図2〉
【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000189798&id=bodyimage1】
■学校現場で広がる「BYOD」によるスマートフォンの教育的利用
学校側での環境構築とは別の観点でICT機器の利用実態に注目すると、“スマートフォンの教育的利用”について動きが見られます。ICT機器の中で、「生徒の私物端末(スマートフォン・PC等)」を使用していると答えた高等学校は全体の19.3%に上り、昨年から6.8ポイント増となりました。〈図1〉
また、高等学校における生徒私有のモバイル機器端末の使用制限状況について調べたところ、全体の7割弱の学校が「持参・使用を禁止している」と答える一方で、「学習などの目的であれば校内で自由に使用できる」(15.0%)の回答割合は、昨年の調査から4.5ポイント上昇しました。これは、生徒の私物端末を教育目的に利用する動きが高まっていることを裏付ける結果と考えられます。〈図3〉
こうした動きは、学校現場での「BYOD」の導入として近年注目を集めており、予算面などでICT端末の調達に課題があるケースにおいて、生徒が使い慣れた自分の所持端末を、校内のネットワーク通信を通じ学習面においても利用することで、多くの費用をかけずにICT活用のメリットを学校現場に創出する、有効な方策として期待されています。
■高等学校でのタブレット型PCの配備状況
タブレット型PCの導入状況を見ると、配備台数に限らず「導入済み」と回答したのは全体の36.2%となり、昨年度から3.2ポイント増、2年前からは6.6ポイント増となりました。〈図1〉 地域別に見ても、「関東」・「関西」・「九州・沖縄」の3地域では、いずれも40%を超える割合となっており、ICT活用機器としてタブレット型PCが注目され、導入・配備が全国的に広がっていることがうかがえます。
また、導入校に対し、端末の配備状況の内訳を調べたところ、「生徒1人1台配備」と答えた高等学校の割合は合計で19.3%となり、大幅増となった昨年度調査からさらに2.4ポイント増となりました。〈図4〉 この傾向は、今後、タブレット型PCの導入予定があるとする高等学校においては更に顕著で、合計54.0%が「生徒1人1台配備」を見込んでいると答えています。〈図5〉
【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000189798&id=bodyimage2】
■高等学校でのタブレット型PCの活用状況
タブレット型PCを既に導入している高等学校に対して、端末の活用状況について調査したところ、全体の67.7%が「十分活用できている」あるいは「まあまあ活用できている」と答えており、昨年調査時から12.5ポイント増と、活用に手応えを感じている高等学校が大幅に増えました。〈図7〉
また、端末の活用にあたってどのようなことに課題を感じているかという調査にも、回答内容に経年変化が見られました。
「教員の活用スキルの引き上げ」(74.5%)・「ネットワーク環境の整備」(59.3%)・「十分な端末数の配備」(57.8%)が、回答数の上位であることは昨年度調査から変わりませんが、「活用に適した場面の見きわめ」(32.0%)・「利用サービス・コンテンツ内容の充実」(29.4%)については回答割合が下がり、学校現場のさまざまなシーンで活用可能なサービスやツールが増え、それらの認知が浸透してきていることがうかがえます。〈図8〉
一方で、「生徒の情報モラルの向上」(46.3%)は昨年から6.6ポイント増となり、高等学校で生徒自身によるICT利用の機会が増えたことによって、情報倫理に対する教育面での課題が表面化していることがわかりました。
【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000189798&id=bodyimage3】
■教育ICTサービスに寄せられる期待
高等学校でのICT活用全般に対する今後の展望についても、さまざまな声が寄せられました。
特に、2020年度に迫る大学入試改革の流れを受けて、対策の必要性が高まる「英語4技能」についての指導や、高大接続改革の流れを受けて、将来的に大学入学選抜時の活用が見込まれている「eポートフォリオ」の導入など、ICTと密接に関わるトピックについて、活用への課題意識やサービスの充実を期待する意見が多く見られました。
一方で、ICT導入のメリットであるペーパーレス化やデータ活用などによって、教員の教務を効率化する、授業内容をより深化するといった、既存課題の改善においても、その利用意義が見出されているようです。
今後、旺文社では、今回の調査結果をもとに学校現場の実情や課題を踏まえ、成果を出しやすく活用意義の高いICTサービスの提供や、高等学校に向けた教育ICT活用セミナーの開催など、教育の場をサポートする取り組みを進めてまいります。
<高等学校アンケート調査実施要領>
※2017年度・2018年度の調査結果は、旺文社HPよりご覧いただけます。
(2017年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/459
(2018年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/509
調査テーマ:
全国の高等学校におけるICT活用状況についての調査
調査目的:
高等学校現場におけるICT機器の導入ならびにICT関連サービスの活用状況の実態を調べ、導入拡大・継続運用のための課題や、今後必要とされるサービス内容を把握する
調査対象:
旺文社独自リストに基づく全国の国公私立高等学校 計5,038校
*中等教育学校を含む/高等専門学校・高等専修学校を除く
調査方法:
対象校に対してアンケートDMを送付し、FAXおよびWebページにて回答を受け付け
調査規模:
全1,189校からのアンケート回答結果を分析
調査時期:
2018年12月上旬~2019年1月上旬
調査発表日:
2019年2月21日
■旺文社提供/学校向け教育ICTサービス
<旺文社英単語マスタープログラム「タンゴスタ!for英単語ターゲット」>
「タンゴスタ!for英単語ターゲット」は、英単語学習を支援するために開発された、高等学校向けのICT活用サービスです。多くの高等学校に教材として採用いただいている英単語集「英単語ターゲット」シリーズのコンテンツが搭載されており、学習の効率化と継続サポートによる生徒の英単語習得、ならびに、確認テストや評価管理の自動化による先生の負担軽減を実現します。
2017年4月のサービス提供開始以来、学校現場におけるICT環境の整備が進んでいることを受け、全国の高等学校での導入が拡がっており、ご利用校の先生方からは、「生徒に学習習慣が定着して英単語力が目に見えるように向上した」、「英単語の確認テスト実施にかかる手間が大幅に減って、時間を有効に使えるようになった」と、好評をいただいております。
【画像 http://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000189798&id=bodyimage4】
●公式サイトURL:https://www.obunsha.co.jp/pr/tangosta
【会社概要】
社名:株式会社 旺文社
代表者:代表取締役社長 生駒大壱
設立:1931年10月1日
本社:〒162-8680 東京都新宿区横寺町55 / TEL:03-3266-6400
事業内容:教育・情報をメインとした総合出版と事業
URL:https://www.obunsha.co.jp/
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社旺文社 総務グループ 広報担当
TEL:03-3266-6400 FAX:03-3266-6849 E-mail:pr@obunsha.co.jp
配信元企業:株式会社旺文社
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