遮蔽物なし
遮蔽物あり
基地局(ローカル5G、Wi-Fi6)
電波測定の模様
両社は今回の検証を通じて、最新のICTを活用したトンネル施工のDX化に取り組み、効率的で安全性の高いソリューションを実現するとともに、他の閉鎖空間での施工にも適用する技術開発に取り組み、2025年の実用化を目指します。
1. 背景
少子高齢化に伴う労働人口減少の中での人手不足対策として、建設業では施工の省人化・無人化を目指しています。トンネル工事においても施工の効率化、安全確保のためにデジタルデータを活用した完全無人化を進めていく必要があり、そのためには閉鎖空間での高速通信および映像処理等の高速化が求められています。
2. 実証について
(1)実証目的
トンネル内の特殊環境下でのローカル5Gの電波伝搬特性と低遅延での高精細映像伝送に与える影響の確認
(2)実証期間
2022年11月19日、20日(2日間)
(3)各社の役割
<安藤ハザマ>
・実証フィールドの提供
・トンネル現場のような閉鎖空間に適用する際の基地局構築方法と安全に関する検討
<ミライト・ワン>
・トンネル内にローカル5GおよびWi-Fi6の無線エリアを構築
・それぞれの電波の特性検証と伝搬測定により、トンネル内におけるスループット(注2)確認
(4)実証環境と概要
・ローカル5GとWi-Fi6とでスループットほかを比較検証
・トンネル内で遮蔽物なし・ありで環境を大別し、基地局から移動局を離し、各地点で電波伝搬の測定、低遅延高精細映像の伝送確認を実施
・コニカミノルタ株式会社が開発した低遅延カメラ(注3)と各無線方式を組み合わせた構成を用いて映像伝送の遅延時間を測定し、高精細映像の転送時間の短縮状況を検証
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/343775/LL_img_343775_1.jpg
遮蔽物なし
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/343775/LL_img_343775_2.jpg
遮蔽物あり
3. 実証結果
(1)ローカル5Gの品質検証について
ローカル5Gの移動局と基地局間の距離を200m→300m→400mと100m間隔で離して電波強度、スループット、遅延時間を測定した結果、電波強度も極端に減衰することはなく、スループット、遅延時間も良好な値が確認できました。
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/343775/LL_img_343775_3.jpg
基地局(ローカル5G、Wi-Fi6)
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/343775/LL_img_343775_4.jpg
電波測定の模様
(2)4K映像の品質確認と低遅延性の確認結果について
コニカミノルタの低遅延カメラをトンネル内に構築したローカル5G環境に接続し、高精細映像を伝送する検証を行いました。その結果、カメラと映像を受信・表示するディスプレイが400m離れていてもカメラの撮影からディスプレイへの表示にかかる遅延を100ミリ秒以下に抑え、4Kの高精細映像を伝送できることを確認しました。
(注1)工事概要
工事名 :北海道新幹線、後志トンネル(天神)他
発注者 :独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 北海道新幹線建設局
施工者 :安藤ハザマ・伊藤・堀口・泰進北海道新幹線、後志トンネル(天神)他
特定建設工事共同企業体
工期 :2019年11月1日~2025年6月30日
工事概要:トンネル施工延長4,460m、幅員約10m、高さ約8m
(注2)スループット
単位時間当たりの処理能力やデータ転送量のこと
(注3)コニカミノルタの低遅延カメラの概要
カメラから離れた場所にある端末で映像を受信する場合、伝送時間によって映像に遅延(タイムラグ)が発生し、遅延が100ミリ秒を越えると人は違和感を持つと言われています。一般的なネットワークカメラの遅延は数100ミリ秒~数秒あるため、リアルタイムに遠隔操作を行うことは難しいのが現状です。今回の実験に使用した低遅延カメラは、5Gに対応しているほか最大4Kの高精細映像の伝送が可能で、なおかつ映像伝送の遅延を50~70ミリ秒に抑えています。
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/343775/LL_img_343775_5.jpg
コニカミノルタの低遅延カメラ