周波数調整機能付きTMD
TMDの天井裏設置例
周波数チューニングの方法
チューニング可能な周波数
■TMDは建屋の固有振動数に合わせたチューニングが必要です
近年、労働生産性の向上を目指して快適でゆとりのある執務空間が求められており、広い空間を実現するために大スパンの床を構成する建築物が多く建てられています。さらに昨今の新型コロナウイルス感染防止の観点からも、一人当たりのオフィス面積の増加傾向は今後も続くと思われます。このような大スパンの床は、鉄骨造で建てられることが多く、床の最も揺れやすい振動数(固有振動数)を励起するテンポで歩行すると、共振現象が発生し、床振動が増幅するという現象が生じます。
この床振動の共振現象の対策案としては、制振装置であるTMD(チューンド・マス・ダンパー:Tuned Mass Dumper)を設置することが一般的になっています。TMDはマス(錘)の振動を対象構造物と同調(Tuned)させることにより共振させ、対象構造物の振動エネルギーを吸収して振動を低減させます。従って、屋内のレイアウト変更などによる積載荷重の変化によって床の固有振動数が当初の値から変化すると、TMDの振動周波数とずれてしまい、その効果を最大限に発揮させることができなくなってしまいます。そして、大型のTMDになると天井裏に設置されることが多く、特に4点支持方式のTMDでは、一旦、共振周波数を合わせてしまうと、後から共振周波数を変更することは非常に困難でした。
■どうやってTMDの共振周波数をチューニングするの?
このような背景のもと、当社では共振周波数のチューニングを簡便に行えるTMDを開発しました。今回開発したTMDはキャンチレバー式であり、アーム・可動マス・コイルバネ・減衰装置より構成されています。TMDは片持ち構造となっており、アームの一端に設置された回転軸を支点として、もう一端に設置されたコイルバネによりアームを保持するとともに50kgの可動マスを上下に共振させ、減衰装置(粘性ダンパー)の働きによりスラブ等で発生する固有振動を減衰させます。そして、このTMDが持つ共振周波数は、コイルバネのバネ定数および支点と可動マスの重心との距離を変えることによって変化させることができます。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/251024/LL_img_251024_1.png
周波数調整機能付きTMD
共振周波数をチューニングするには、まず、アームを水平位置で保持した上で、ロックピンの抜き差しによる周波数調整用コイルバネのアームへのワンタッチ脱着によりバネ定数の異なるバネを選択します。このバネ選択により共振周波数の粗調整が可能となります。その後、ハンドル操作によるスライド機構を用いて可動マスを左右に移動させることにより、共振周波数の微調整ができます。そして、これらの調整の際には工具を必要としません。なお、今回製作したTMDにおける共振周波数の調整可能範囲は2.8Hz~6.8Hzとなっており、ほとんどの床がもつ固有周波数をカバーすることが可能となっています。
このように、当社のTMDを採用することにより、オフィスにおける振動問題が解決し、従業員に優しい快適な執務空間を長期間にわたって実現することができます。
■TMD共振周波数のチューニング効果を実感できます
当社では3月17日(水)および3月18日(木)にパシフィコ横浜で開催されます、第12回「振動技術展」でブースを開設いたします。本展示会は、振動の発生・防振・制振・免震・除振と利用技術に関する最新の情報を発信する技術展であり、当社の様々な揺れを抑える制振装置や対策事例などをご紹介いたします。
会場では、手間のかかる作業を最小限にしつつ確実にパフォーマンスを発揮出来る次世代TMDのコンセプトモデルを展示する予定です。バネのワンタッチ脱着とハンドル操作で誰でも簡単に楽々チューニングできますので、ぜひ簡易調整によるチューニング効果をご体験ください。
■第12回「振動技術展」開催概要
日時 : 2021年3月17日(水)~3月18日(木) 10:00~17:00
会場 : パシフィコ横浜 Bホール
主催 : 「振動技術展」実行委員会
公式サイト: https://www.shindoexpo.com/
入場料 : 無料
入場方法 : 事前登録制(※感染症対策の取り組みとして)
下記サイトよりご登録ください
https://www.shindoexpo.com/visit/
(事前登録がなく当日ご来場いただく場合は、
受付にて登録作業に時間を要することがございます。)
同時開催 : 第25回「震災対策技術展」横浜
■ヤクモ株式会社について
当社は、振動・騒音対策の総合エンジニアリング企業として、半世紀以上にわたって様々な防音・防振装置を開発してきました。振動理論と様々なノウハウに基づいて設計された装置は、優れた効果を発揮します。このようなユニークな技術を通じて、「人に優しい」安全で快適な生活空間づくりに貢献しています。
■会社概要
商号 : ヤクモ株式会社
所在地 : 〒141-0032 東京都品川区大崎5-4-18
代表者 : 代表取締役社長 舟木 英之
設立 : 1963年5月
事業内容: 防振・防音に関わる各種装置・部材の製造、リースおよび施工、
メンテナンスなど
資本金 : 6,000万円
URL : https://www.yacmo.co.jp/
【本出展に関するお客様からのお問い合わせ先】
ヤクモ株式会社
Tel:03-5496-7555