自粛期間中、「のび太になろう。」というキャッチコピーで、「STAY HOME」を呼びかける広告が話題になりましたが、自粛期間が開けた今、同じく「ドラえもん」のキャラクターの生き方が注目されています。
ドラえもん研究の第一人者、横山泰行氏によると、今のような時代にこそ、人生をたくましく生き抜くのに欠かせない「スネ夫流思考術」を高めてほしい、と言います。
2012年9月3日(ドラえもん誕生日)に発売になった著書『「スネ夫」という生きかた』が、発売から8年を経て、コロナ自粛時に再ブレイクしています。
なぜ今、スネ夫が注目を浴びるのか、「スネ夫の思考術」をご紹介します。
ピンチのときこそ冷静になるためには
心理学の用語でメタ認知ということばがあります。平たく言えば、自分の置かれている状況を、不安や恐怖などという「一次的感情」にとらわれず、客観視するということです。
スネ夫は、このメタ認知のプロ。
『てんとう虫コミックス大長編ドラえもん』第3巻「のび太の大魔境」(小学館)で、こんなワンシーンが描かれています。
暗く冷たい谷底の岩場を歩くことになったドラえもん一行。突然、岩が巨大な音でうなりだしたのです。「死霊の声だ! 死霊がまねいているんだ」と冷や汗を垂らし、パニクるのび太やドラえもんたち。
ですが、スネ夫は冷静に周囲を観察し、原理を解説します。
「このへんは火山帯なんだ。だからときどき地底から蒸気をふき出す。それがあなだらけの岩を共鳴させて音が出る。ふえと同じ原理さ」
スネ夫だけが、感情にかられて右往左往するのではなく、不安に包まれた自分を客観的に見つめ、視野を広げて冷静に周囲の状況を分析できています。これこそ、スネ夫のメタ認知能力の高さを表しているエピソードです。
このようになるためには、ワンクッション置いて自分を客観視するクセをつけることを常日頃から心がけている必要があります。
機嫌の悪いジャイアンのかわし方などをみても、スネ夫は、意識的にそのような思考法をするように心がけていることがわかります。
だからこそ、みんなが、パニクったときにでも、冷静に対応できたのでしょう。
先行きが不安な今こそ、スネ夫のように、沸き上がる感情を一度落ち着かせ、冷静に、客観的に状況を見つめることが大切なのではないでしょうか。
自分で自分に期待をかけることが、強い意志を育む
また、くじけそうになることが多い今、逆境に立ち向かい、くじけないで物事を完遂するための強い意志の力が必要です。スネ夫は自分で自分を評価することで、その意志の力を手に入れています。
ドラえもんでは、スネ夫が鏡などを見ながら、自分の容姿に見ほれている姿が、多く描かれています。誰かに容姿をホメられたという「実績」があるわけでもないのに、自分のことをイケメンだと思い込み、自分のカッコよさに酔うことができるのは、皮肉ではなく相当な能力です。
心理学の実験で、人は、ほめられたり、期待されたりするとうまくいくことが明らかになっています。ピグマリオン効果と呼ばれているものです。
スネ夫のように、「まったく根拠のない自信」で構いません。誰かに期待される前に、自分で自分を信じて、期待をかけてあげる。これこそスネ夫流、夢のかなえ方であり、逆境に立ち向かって物事を完遂するための強い意志の力を育む方法なのです。
ほかにも、空気の読み方や周りを巻き込むための効果的な伝え方など、スネ夫の人生には、今を生きるためのノウハウが詰まっています。ぜひ、『「スネ夫」という生きかた』をこれからの参考にしてみてはいかがでしょうか。
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