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太陽光発電と農業を両立 「ソーラーシェアリング」で活気 千葉


 千葉県匝瑳市飯塚地区は、国内最大規模の「ソーラーシェアリング」の集積地域として知られる。ソーラーシェアリングは農地に支柱を立て、その上に太陽光発電のパネルを置き、農業と発電を同時に行う取り組みだ。ここで発電を始めた「市民エネルギーちば株式会社」の椿茂雄・共同代表(74)に、ソーラーシェアリングの現状を聞いた。【近藤卓資】

 ――ソーラーシェアリングを始めたきっかけを教えてください。

 ◆2011年の東日本大震災より前から、太陽光発電に興味を持っており、自宅の屋根にパネルを設置していました。震災後、東光弘さん(現・市民エネルギーちば代表取締役)と出会い、「太陽光発電で耕作放棄地をよみがえらせたい」との思いで、14年に資本金90万円でスタートしました。

 ――現在の規模はどのくらいですか。

 ◆最初は35キロワットでスタートし、現在は約23ヘクタールで約6000キロワット。一般家庭約1900世帯分の電力がまかなえる発電量です。両面受光タイプのパネルが登場し、発電効率は従来のものより20%以上も上がりました。

 ――パネルの置き方を工夫しているそうですね。

 ◆パネルは高さ約3メートルの架台の上に置いています。作物の生育に影響が出ないよう、パネルの幅の2倍の間隔を空け、遮光率を約30%に抑えています。支柱があることで、農機具の運転に気を使いますが、大きな障害にはなりません。現在は麦と大豆を有機農法で栽培しており、26年以降は稲作にも取り組みます。

 ――飯塚地区にこれほど集積しているのはなぜですか。

 ◆ここは1980年代に山を切り開いて畑にした場所で、水はけが悪く、土地がやせていました。農家の高齢化が重なり、管理されずに荒れ果てた土地が多かったのです。農地の再生を目指すソーラーシェアリングは地主や地域から好意的に受け入れられました。

 ――地域への還元も積極的ですね。

 ◆収穫祭を年2回開いており、地元だけでなく、ソーラーシェアリングに関心がある人が集まることで、活気を呼び込んでいます。2019年の台風(房総半島台風)で市内が6日間停電した際には、施設を「無料充電ステーション」として開放しました。スマートフォンや携帯電話の充電に困っていた住民に喜ばれました。

 資金調達の困難さや売電価格の低下など課題は多いですが、「ソーラーシェアリングの郷」として、環境に配慮しながら調和型の市民発電を目指しています。最近は移住して農業を始める人もおり、人が集う明るい郷にしたいですね。

つばき・しげお

 1951年、匝瑳市生まれ。大学卒業後、江戸時代から続く稲作農家を継ぐ。東日本大震災後の2014年に「市民エネルギーちば株式会社」を設立。中山間地の耕作放棄地などを活用し、持続可能な営農体制の確立を目指す。

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