
トランプ米大統領は9日、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスとの停戦について、「今週か来週に何らかの合意が得られる可能性が高い」との見通しを示した。ホワイトハウスで記者団に話した。米国は60日間の停戦合意とそれに合わせた人質解放や遺体返還などの案を提示し、関係国と話し合いを進めている。米ニュースサイト「アクシオス」は、関係国高官らによる8日の協議でイスラエル側が譲歩し、「明確な進展があった」と報じた。
トランプ氏は7、8両日、イスラエルのネタニヤフ首相とホワイトハウスで会談した。8日の会談に先立つ閣議では、米国のウィットコフ中東担当特使が、停戦を巡る交渉で四つあった問題のうち三つが最近解決されたと報告していた。
アクシオスによると、ウィットコフ氏は8日の首脳会談の直前、ネタニヤフ氏の側近であるイスラエルのデルメル戦略問題相、仲介国であるカタール政府の高官とホワイトハウスで秘密の協議を行った。ここで60日間の停戦中にイスラエル軍をどこまで撤収させるかが話し合われた。
カタール政府高官は、デルメル氏が示したイスラエル軍の撤収案について、ハマスが拒否して交渉が決裂する恐れがあると指摘。ウィットコフ氏も、ガザの大部分に軍を駐留させるように主張している人物の案のように見えるとし、受け入れられないと語ったという。
この後、イスラエル側は、撤収する範囲を広げる新たな案を提示。これによって協議が大きく進み、合意の可能性が大幅に高まったという見方を示している。
イスラエルとハマスは6日にカタールで間接交渉を再開した。ウィットコフ氏は今週中にカタールを訪れる予定だ。【ワシントン西田進一郎】