
イスラエルとイランは18日も空爆やミサイル攻撃などの応酬を続けた。イスラエルを支援する米国では、トランプ大統領が17日午後、国家安全保障会議(NSC)を開いて対応を協議。複数の米メディアによると、米軍によるイランへの攻撃も選択肢に含まれる。トランプ氏はソーシャルメディアに「無条件降伏!」と投稿し、イスラエルのネタニヤフ首相とも電話協議するなど、イランへの威圧を強めている。
トランプ政権は、イスラエルへの情報提供やイランからの攻撃に対する防衛支援を行っている。ただ、これまでは交渉を通じてイランにウラン濃縮活動の放棄を求めており、米軍の軍事行動には慎重な姿勢を保っていた。仮に攻撃に踏み切れば、本格的に紛争に巻き込まれるリスクもあり、対応が焦点となっている。
米ニュースサイト「アクシオス」は、米国がイラン中部フォルドゥにある地下核施設への攻撃を真剣に検討していると報じた。フォルドゥの施設には、地中深くに高濃縮ウランの製造拠点がある。破壊には米軍が保有する地下貫通弾(バンカーバスター)が必要とされ、イスラエル側が協力を求めている。
トランプ氏は17日、自身の投稿で「我々はイラン上空の制空権を完全に握った」と強調。イランの防空能力が無力化され、米軍の爆撃機が攻撃可能な状態であることを示唆した。
さらに、イランの最高指導者ハメネイ師について「隠れている場所は正確に分かっている。彼は簡単な標的だ」と主張したが、「今のところは、彼を排除(殺害!)しない」と述べた。そのうえで「我々の忍耐は擦り減っている」と脅した。
バンス副大統領も、X(ツイッター)に「(トランプ氏が)イランのウラン濃縮を止めるため、さらなる対応が必要だと判断するかもしれない」と投稿。軍事オプションを排除しない構えをにじませた。
一方、イラン側も強硬姿勢を崩していない。軍トップは、これまでの報復攻撃は「抑止のための警告」にすぎず「懲罰的な攻撃」はこれからだと強調。ハメネイ師も18日、イスラエルには「強力な報復を与えなければならない。容赦はしない」とXに投稿した。
米紙ニューヨーク・タイムズは17日、米軍の軍事介入に備え、イランが中東各地の米軍基地をミサイルなどで攻撃する準備を進めていると報じた。
米軍による直接攻撃の是非に関しては、与党・共和党内でも主張が割れている。そもそもトランプ氏は「米国第一主義」を掲げ、他国への軍事介入に否定的な姿勢を示してきた。この考えは、トランプ氏を支持する「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)派」の中核をなす理念でもある。
MAGA派の代表格であるマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員は16日にXの投稿で「外国の戦争、介入、体制転換は最終的に我々を破滅に追い込む」などと主張し、米軍の紛争への直接的な関与に反対した。
一方、トランプ氏に近く対イラン強硬派として知られるリンゼー・グラム上院議員は17日の米FOXニュースのインタビューで、「イスラエルに必要な支援を提供することを願っている。イランの核開発計画を破壊できれば、歴史的な出来事になる」と語った。【ワシントン松井聡、カイロ金子淳】