
大阪府泉佐野市のホテル日航関西空港で9日始まった第83期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)の第3局は、後手番の藤井聡太名人(22)が矢倉囲いに組むと挑戦者の永瀬拓矢九段(32)も追随し、最近のタイトル戦では珍しい相矢倉戦となった。
解説の稲葉陽八段は「藤井名人は、後手番で銀を3三に持っていくこと自体が珍しい。相矢倉は初めてタイトル戦に出た(2020年6月の)棋聖戦五番勝負第1局以来ではないか」。
データベースで調べてみると、藤井名人が公式戦で相矢倉戦となったのは7局あった。16年12月のデビュー戦、加藤一二三九段(85)戦も相矢倉で、稲葉八段が指摘した渡辺明棋聖=当時=に挑戦した棋聖戦第1局を最後に約5年間指してこなかった。
テンポよく指す藤井名人に対し、永瀬九段は想定を外されたのか、たびたび考慮に沈んだ。昼食休憩に入った正午時点で、消費時間は永瀬九段2時間11分、藤井名人29分と1時間以上の差が付いた。【丸山進】