
藤井聡太名人(22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦する第83期名人戦七番勝負の第1局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、藤田観光協力)は10日午前9時、東京都文京区のホテル椿山荘東京で2日目の対局が始まった。永瀬九段が1時間55分長考した封じ手(83手目)は、解説の佐々木勇気八段が本命に挙げていた9八同香だった。
2日目の椿山荘は、薄曇りの空の下、明治時代の元勲、山県有朋が造り上げた庭園を小鳥が鳴き交わす心地よい朝を迎えた。
1日目は、角換わりで両者の研究がぶつかり、永瀬九段の方が慎重に持ち時間を消費する展開に。封じ手局面は、藤井名人が9筋の歩の突き捨てを生かして9八歩としたところで封じ手となっていた。
対局室に永瀬九段、藤井名人の順に入り、前日の手順を再現した後、立会の島朗九段が封を開いて、「封じ手は9八同香です」と読み上げた。藤井名人は少考して7五歩と飛車先の歩を突き、永瀬九段は桂頭に6六銀と進めた。
佐々木八段は「7五歩の局面は手が広く、永瀬九段は一晩考えて6六銀を選んだ。先手は4四桂、後手は7筋の攻めが早い。終盤に近付いているがバランスは取れており、ここからの攻防は見応えがありそう」と話した。【丸山進、新土居仁昌】
第2日指し手
[先]永瀬
[後]藤井
<83>9八同香115 (封じ手)
(84)7五歩13
<85>6六銀9