
大阪府泉佐野市のホテル日航関西空港で9日から指されている第83期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)の第3局は、10日午前に挑戦者の永瀬拓矢九段(32)が千日手を回避し、互いに戦機をうかがう展開で2日目の昼食休憩に入った。
藤井聡太名人(22)から千日手を打開するかと思われていたが、藤井名人は5五銀(54手目)と4手前と同じ局面にする手順を選んだ。これを見て永瀬九段は38分悩んだ末に7九角(55手目)と引き、更に5八歩(57手目)と打ち、相手の攻めを待つ方針に徹した。
1五歩(61手目)と永瀬九段が端の位を取った局面で藤井名人が29分考えて昼食休憩となる正午を迎えた。持ち時間各9時間のうち残り時間は永瀬九段3時間56分、藤井名人3時間1分。
稲葉陽八段は「永瀬九段は辛抱しつつも1筋の位を取り、藤井名人の攻めを待つ姿勢です。藤井名人がペースを握りつつありますが、具体的によくする手順はまだ見えない。永瀬九段から4六銀とぶつけて局面を動かしにくることに気を付けながら進めることになりそうです」と解説する。
藤井名人が流れを引き寄せられるかどうかが、午後の勝負のポイントになる。【丸山進】