starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

「結婚したい」リアルに再現 大阪府警などがロマンス詐欺体験ツール


大阪府警と府立都島工高が共同で、LINEのチャットボットを活用した詐欺被害防止ツールを開発。ユーザーはリアルなやりとりを通じて、ロマンス詐欺やSNS型投資詐欺の手口を学べる。このツールは、体験を通じてどのようにして被害に遭うのかを具体的にイメージさせることを目的として設計されている。これにより、利用者は詐欺の手口への警戒心を高めることができる。プロジェクトは生徒と専門家が協力し、プログラミングを担当。府警の狙いは、詐欺被害抑制の啓発を広めることにある。ツールは府警のホームページから利用可能。

 始まりは一通のメッセージだった。

 「プロフィルを見て君がとても魅力的に感じました! もしよければお友達になりませんか?」

 無料通信アプリ「LINE」で連絡してきた男性はイギリスのリバプール在住。読書と映画鑑賞が趣味という。やりとりしているとテレビ電話がかかってきた。

 画面の中で男性は優しい口調で語りかけてきた。「君と過ごしているとなんか安心するんだ。君はどうなの?」。流ちょうな日本語だった。

 しばらくして、ストレートな愛の言葉が届いた。「僕は君をすごく愛しています。僕はあなたと結婚したい」。少し戸惑ったが結婚の話を受け入れてみると、すぐ返信が来た。

 「結婚式を挙げるために300万円の半分の150万円を振り込んでくれない?」

 とりあえず男性には振り込んだと伝えた。今度は返信が遅い。スマートフォンを握りしめていると、いきなり警告画面が表れた。

 「あなたは騙(だま)されました」……。

 近年、交流サイト(SNS)を使った投資詐欺や恋愛感情を利用するロマンス詐欺の被害が後を絶たない。大阪府警によると、府内の2024年中のSNS型投資詐欺とロマンス詐欺の認知件数は1016件で、前年の約2・4倍。被害額は127億円に上る。

 そこで、被害を食い止めようと府警は府立都島工高と共にLINE上でだましの手口を体験できる仮想体験ツールを開発した。ロマンス詐欺の手口を知ろうと記者が実際にツールを利用してみたのが、冒頭のやりとりだ。

 ツールは、LINE上の自動会話プログラム「チャットボット」機能を活用。本当にLINEでやりとりしているようなリアルな会話を再現したことによる“没入感”が強みという。テレビ電話の男性の動画はAI(人工知能)で作成した架空のもので、声も合成だった。

 記者は数分間やりとりし、好意を抱くような言葉を送られてドキドキしていると金銭を要求されてしまった。実際には、やりとりが数カ月続く被害例もあるといい、府警は「どう被害にあうのかをイメージしてもらいやすいはず」と狙いを語る。

 ツールはロマンス詐欺のほか、投資を勧誘する「SNS型投資詐欺」と、犯罪に加担させる「闇バイト応募トラブル」の3種類を用意。都島工高コンピュータ研究部が、香川大客員研究員でサイバーセキュリティーが専門の平野敏範さん(46)の指導を受けプログラミングした。

 4月には、校内でツール体験会を実施。生徒らは「だまされた~」などと口々に感想を言い、詐欺の手口を学んだ。開発に関わった3年の朝田寛さん(17)は「多くの人にこのツールが広まり、犯罪の手口を知ることでだまされないようにしてほしい」と話した。

 ツールは府警ホームページ(https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/snssagi/20935.html)からQRコードを読み取ると利用できる。【井手千夏】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.