
江藤拓農相は22日の閣議後記者会見で、トランプ米政権との関税交渉を巡り、政府内で米国産米の輸入拡大案が浮上していることについて「主食で自給可能なコメを海外に頼る体制を築いてしまう」と懸念を示し、農相として「大いに疑問を持っている」と不快感をあらわにした。
政府内には国内のコメ価格高騰を受け、米国産米の輸入拡大が物価対策にもつながるとの声もある。これについて江藤氏は「お金を出しさえすれば(食料が)手に入ると日本人が信じすぎたゆえに、食料自給率が低くなった。農業者の方々が(コメを作る)意欲を失ってしまう」と指摘。「コメの国内生産が大幅に減少してしまうことが国益なのか。国民全体で考えていただきたい」と述べ、食料安全保障の観点からも問題だとの認識を示した。
一方で、現在のコメ価格について「備蓄米を出しても店頭価格が下がらないことは責任を重く感じている」とした。【中津川甫】