
パレスチナ自治区ガザ地区の停戦を巡り、米ニュースサイト「アクシオス」は9日、トランプ米政権のウィットコフ中東担当特使が11日にもカタールを訪れると報じた。3月1日に停戦の「第1段階」が期限を迎えて以降、停戦交渉はこうちゃく状態が続いており、停戦の延長など進展があるかが注目される。
イスラエル首相府は8日、10日に交渉団をカタールに派遣すると発表。これに先立ち、イスラム組織ハマスは、恒久的停戦につながる停戦「第2段階」についての協議開始に向けて「前向きに進んでいる」との声明を出した。
イスラエルは、停戦の第1段階を4月後半まで延長するというウィットコフ氏の提案を受け入れると明らかにしている。一方、ハマスは第1段階の延長を拒否し、第2段階に進むことを求めている。
ただ、交渉は複雑さを増している。米国が、テロ組織に指定しているハマスと直接協議に乗り出しているからだ。米国は、米国籍を持つ人質などの解放を中心に求めている模様だが、アクシオスによると、イスラエルは、自国の同意なしに人質の解放やパレスチナ人の囚人の釈放について交渉の議題にしないように求めており、米国側と激しいやり取りがあったという。今回、ウィットコフ氏がハマスと直接協議をするかは不明だ。
一方、イスラエルは9日、ガザ地区への電力の供給を停止すると発表した。停戦延長を拒むハマスに対して圧力をかけた形だ。ただ、戦闘開始以降、ガザのインフラは破壊され、住民は太陽光やガソリンなどを燃料とする発電機に頼っている。イスラエルメディアによると、今回の措置で影響を受けるのは、中部の海水淡水化施設など一部にとどまるという。【エルサレム松岡大地】