
トランプ米大統領は25日、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉に関し、「ハマスは合意を望んでいなかった。任務を完了しなければならない段階に来た」と述べ、イスラエル軍によるハマスの「排除」を容認する姿勢を示唆した。米国とイスラエルは24日に仲介国のカタールから交渉団を呼び戻すと表明しており、トランプ氏はハマスへの圧力を強めた形だ。
トランプ氏は25日、記者団に、イスラエルのネタニヤフ首相と電話協議したと説明。「彼ら(ハマス)は死を望んでいると思うし、非常に悪い状況だ」と指摘し、イスラエルは「戦わなければならないし、(ハマスを)一掃しなければならない」と語った。
さらに、ハマスが拘束している人質を解放しないのは、交渉の切り札や、イスラエル側からの攻撃を守るためのすべを失うことを恐れているためだとの認識も示した。
米ニュースサイト「アクシオス」によると、イスラルの高官は、交渉の行き詰まりを打破するために「危機を作り出す必要がある」と説明。一方で交渉の完全な崩壊はイスラエルの利益にならないとも主張した。圧力を強めてハマスに譲歩を迫る狙いもあるとみられる。
ハマスとイスラエルは7月に入って停戦に向けた交渉を本格化させていたが、イスラエル軍の駐留範囲などを巡って溝があるとされる。米国のウィットコフ中東担当特使は24日、ハマスについて「停戦合意への意欲が欠如している」と非難し、ハマスに人質を解放させるための「別の選択肢」を検討するとしていた。【ワシントン松井聡】