
石破茂首相は17日の衆院予算委員会の集中審議で、日本維新の会が求めている高校授業料の無償化を巡り、子どもが私立高に通う世帯に支給される就学支援金の所得制限を2026年度から撤廃し、支給額の上限を現行の年39万6000円から45万7000円程度に引き上げる考えを表明した。維新の党内での検討を経て与党との協議が整えば、25年度予算成立に向けた道筋がつくことになる。
首相は私立高に通う世帯への支援金について「引き上げる方向になる」とした上で、引き上げ額については「直近の全国平均授業料45・7万円をベースとする」と述べた。自民、公明、維新の3党首が合意した上で、26年度予算編成に向けた今夏の骨太方針に示して予算案に反映させ、26年通常国会で必要な法改正をして実現するスケジュールも提示した。維新の前原誠司共同代表は「評価をしたい」と述べた。
また、25年度は先行措置として、公立・私立を問わず、年収910万円未満の所得制限を撤廃し、公立高の授業料に相当する年11万8800円を支給する方針も示し「25年度予算案を修正する方向で与党と相談する」と述べた。
首相の答弁後、自民の小野寺五典、公明の岡本三成、維新の青柳仁士の3政調会長は国会内で協議。会合後、青柳氏は記者団に「まだ道半ばだが一つのアイデアをお示しいただいた」と述べた。
さらに維新は17日夜、前原氏や青柳氏、吉村洋文代表らがオンラインで協議し、政府・与党の提案について対応を協議した。
現行の私立向け支援金は、年収590万円未満の世帯に年39万6000円を上限に支給されている。自民、公明両党はこれまでに、26年度に所得制限を撤廃した上で支給額を引き上げる考えを維新側に伝達。維新は大阪府と同水準の年63万円への引き上げを要求しているが、党内には引き上げ幅について柔軟に対応すべきだとの意見もある。【田中裕之、高橋祐貴、東久保逸夫】