おうちでゆったりとくつろいでいるとき、はたまた外へでかけたとき。いつでも、どんなときでも寄り添ってくれるビールたち。そんなビールと過ごすなにげない日常を、イラストレーターnatsuruが描きます。

(これまでの「いつもの日常に、わたしとビールと。」はこちら)
夏の自由時間

じりじりと照りつける太陽の下、熱を含んだ砂に足をおろす。タオルを敷いて腰をおろし、クーラーボックスのなかからキンと冷えたオリオンビールを取り出す。プシュッという音とともに潮風と混ざって、ほのかにトロピカルな香りが広がった。海はどこまでも青く、波打ち際ではたくさんの人たちの笑い声がはじけている。すこし汗ばんだ肌にビールの喉ごしが心地よく、飲むたびに身体の芯がすうっと涼しくなる。遠くにはかすむ水平線と、ゆるやかに揺れる漁船。オリオンビールを片手に、何も考えずに空を見上げる。ただ波の音を聞いているだけで、時間がゆるやかに流れていく。「ああ、夏ってこんなに自由だったっけ」そんな気持ちを思い出させてくれる、まぶしくてちょっと切ない、真夏の午後。
Illustration:natsuru(@NaTsuRuuuu)
Text:山吹彩野
