米紙ワシントン・ポストは10日、トランプ次期米大統領とロシアのプーチン大統領が7日に電話協議したと報じた。複数の関係者の話としている。トランプ氏はウクライナとの戦闘を激化させないよう忠告し、欧州における米軍の存在について強調した。また早急な停戦のための解決策を話し合うため、更なる協議に意欲を示したという。
報道によると、米大統領選(5日投開票)後にトランプ氏とプーチン氏が電話協議するのは初めてで、両氏は欧州の平和という目標について話し合った。協議について詳しく知る元米政府関係者はトランプ氏に「戦闘を悪化させたくないという動機がある」と述べ、おそらく、新たな危機が起きた状態で(来年1月に)大統領に就任したくないと考えているだろうと指摘した。
この電話協議について、ウクライナ政府は連絡を受けており、異議は唱えなかったという。ウクライナ政府関係者は同紙に「トランプ氏がプーチン氏と外交的な解決策について取り組むことは織り込み済みだ」と述べた。
米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ氏が6日にウクライナのゼレンスキー大統領と電話協議した際、トランプ氏の支援者で実業家のイーロン・マスク氏も参加していた。トランプ氏はゼレンスキー氏にウクライナを支援する方針を示したが、詳細には言及しなかった。
ウクライナ情勢を巡っては、トランプ氏はこれまでも停戦の必要性に繰り返し言及。「(大統領選で当選すれば)就任前に解決する」「(就任後)24時間以内に戦争を終わらせる」などと豪語してきた。
ただ、ウクライナの勝利を望むかどうかは言及せず、米政府の軍事支援にも消極的な姿勢を示してきた。こうしたことから、ウクライナ側には望まない条件で停戦を迫られるとの警戒感がある。【ワシントン松井聡】