ハンガリーのオルバン首相は3日、米大統領選でウクライナとロシアの和平仲介を公言するトランプ前大統領が当選した場合、欧州もウクライナ支援を再考すべきだと述べた。欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)はウクライナ支援の継続、強化を目指しており、トランプ氏が当選した場合、ハンガリーの姿勢が混乱を招く可能性がある。
ロイター通信などによると、オルバン氏は3日のテレビでトランプ氏の勝利を念頭に「もし米国で平和を支持する大統領が生まれれば、欧州は戦争の支持者にとどまることができないことを私たちは理解する必要がある」と発言した。さらに「欧州だけでは戦争の負担に耐えられない。米国が平和に転換するなら、我々も適応する必要があり、そのことを議論すべきだ」と述べた。
オルバン氏は10月末、トランプ氏に米大統領選での幸運を願うメッセージを伝えるなど、トランプ氏支持の姿勢を鮮明にしている。
米大統領選に向けトランプ氏はウクライナ、ロシアの和平仲介と早期停戦を掲げており、ウクライナに不利な条件を提示する可能性がある。
ハンガリーは7月、EU加盟国で構成する欧州理事会の議長国に就任したが、オルバン氏はEUの方針と逆行する発言を繰り返し、物議を醸している。EUがウクライナ支援の継続策を議論する中、10月上旬には「ウクライナはロシアとの戦争に勝てない。EUのウクライナ支援は愚かだ」と発言し、フォンデアライエン欧州委員長が欧州議会でハンガリーを非難する事態となった。
トランプ氏が大統領選で勝利し、EUと意見が対立した場合、欧州理事会議長国の首相であるオルバン氏がトランプ氏を支持して混乱する恐れがある。【ブリュッセル宮川裕章】