
ウォルツ米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は20日、ロシアとウクライナの戦争終結に向けた交渉を巡り、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に対して「いら立っている」と語った。ホワイトハウスで開かれた大統領報道官の記者会見に同席して答えた。
トランプ氏は米露の協議に反発するゼレンスキー氏を「選挙で選ばれていない独裁者」などと批判している。一方、ゼレンスキー氏もトランプ氏は「偽情報の中に生きている」と反論し、応酬となっている。
ウォルツ氏は「いら立ち」の理由として、「(ウクライナの首都)キーウから出てきた暴言のいくつかは、トランプ氏を侮辱するもので受け入れがたいものだった」と指摘した。さらに、ベッセント米財務長官が軍事支援の継続と引き換えにレアアース(希土類)に関する「ディール(取引)」を提案したことにも言及。「米国がウクライナの鉱物資源や資源に共同で投資する歴史的な機会を提供した」とし、米国の投資はウクライナの長期的な安全保障になると強調して交渉に戻るよう求めた。
ウォルツ氏は、トランプ氏が24日にフランスのマクロン大統領、27日に英国のスターマー首相とそれぞれ会談すると正式に発表した。欧州諸国とは意思疎通を続けているとし、米露の交渉過程で欧州との連携が不十分だという見方を否定した。
同時に、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に対する不満も示した。加盟国の3分の1が、防衛費支出を国内総生産(GDP)比で最低2%にするという2014年の約束を果たしていないと批判。6月のNATO首脳会議までに達成する必要があるとした。さらに、トランプ氏が主張するGDP比5%への引き上げに触れ、「欧州はパートナーとして、自国の防衛のために取り組みを加速させる必要がある」と語った。【ワシントン西田進一郎】