
ウクライナのゼレンスキー政権で2020年3月から昨年9月まで外相を務めた前職のドミトロ・クレバ氏(43)が、毎日新聞の単独インタビューに応じた。最大支援国・米国でトランプ大統領の就任以降、対ウクライナ政策が大きく転換した点について「(米政権は)ロシアを取引相手と見なすようになった。ウクライナと欧州にとっては大きな困難となる」と指摘した。取材は21日にオンラインで実施した。
クレバ氏は、トランプ政権の発足で世界秩序が軍事力本位に変わったと強調した。米外交の現状については「欧州やウクライナとの連帯は消え、ロシアとの連帯が生まれた」と述べ、「トランプ政権がこれほどまで露側と見解を共有するようになるとは予想できなかった」と驚きを隠さなかった。
侵攻が4年目に入ったロシアとの和平交渉では、停戦後のウクライナの安全保障をどう確保するかが焦点の一つとなる。ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)への早期加盟を求め続けているが、トランプ政権は否定的な姿勢だ。
代案として、欧州などの有志諸国がウクライナへ平和維持部隊を派遣する方策も浮上しているが、クレバ氏は、露軍との全ての前線に部隊を配置するには20万人規模が必要と指摘。「実際には小規模な部隊の派遣にとどまり、ロシアの攻撃(再侵攻)を止めることはできないだろう」と疑問視し、NATO加盟が「最善の安全保障」だと訴えた。
日本に対しては、ウクライナ支援の継続を呼びかけた。ウクライナ侵攻で実戦経験を積むロシアと北朝鮮に加えて中国も例に挙げ、「ウクライナが不公平な条件で和平を押しつけられれば、(他の地域でも)力で要求を押し通すことが盛んになり、安全保障リスクは跳ね上がる」と強調。「我が国へ支援を続けることは、日本にとっても理にかなう」と呼びかけた。
クレバ氏は、昨年9月の大規模な内閣改造で第1外務次官だったシビハ氏と交代した。現在、パリ政治学院の非常勤教授などを務めている。【キーウ(キエフ)岡大介】
