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トイレ盗撮の元学童職員に執行猶予判決 法廷で語った「正義感」


 「便座や床が汚れる原因を知りたかった」――。勤務先の学童保育施設のトイレにカメラを設置し児童らを盗撮したとして、児童買春・ポルノ禁止法違反などの罪に問われた男性(27)に神戸地裁(酒井英臣裁判官)は6日、懲役2年、執行猶予4年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。男性が法廷で動機として語ったのは、自らの「正義感」だった。

 「(カメラの設置は)仕事の一環で、性的な目的はなかった。だから犯罪になると深く考えなかった」。5月17日、大村健登(けんと)被告は法廷で事件に至る経緯を淡々と説明した。

 きっかけは子どもからトイレの汚れを相談されたことだったという。利用する子たちに注意を呼び掛けたが改善はみられず、職員会議で取り上げられても「様子を見る」と進展しなかった。

 「子どもたちの環境を良くしたい」「問題を解決して、成果として認めてほしい」。そんな思いが募り、2022年12月ごろにカメラを設置した。同僚には相談せず撮影を続けたが、盗撮を疑った施設関係者が県警に相談。24年1月、被告は逮捕された。

 本当に「正義感」だったのか。被告のスマートフォンには、インターネット上からダウンロードした児童のわいせつ画像や動画が多数保存されていた。「児童ポルノや性的虐待の実態を知り、投稿者を何とかしたいと思って集めた」。公判で動機をそう語った。

 「問題意識がありながら、トイレの撮影が児童ポルノの製造(という犯罪に)にあたると思わなかったのか」。検察官の問いに、被告は悩みながら返答した。「自分がやっていることと結びつけることはできなかった」

 証人として出廷した母親は涙ながらに語った。「被害者や保護者のことを思うと胸が苦しい。なんてバカなことをしたのだろう」。被告は家事を手伝い、母の日にプレゼントをくれる優しい一面があったという。「一緒に心療内科に通い、この子の考え方のずれを確かめていきたい」と支援することを誓った。

 判決文によると、大村被告は23年3月22日と同24日、神戸市の学童保育施設の男女共用トイレの個室内で、配管と壁の隙間(すきま)にスマホで操作できる小型カメラを設置し、児童4人を盗撮した。スマホにはネットを介して入手した児童のわいせつ動画を保存していた。

 検察側は公判で「被告は荒唐無稽(むけい)で不合理な弁解に終始し、自身の性的認知のゆがみと真摯(しんし)に向き合っていない」と指摘。弁護側は「自身の認識が社会常識とずれていることを痛感し、再犯防止に向けて具体的な行動を取っている」として執行猶予を求めていた。

検挙された性犯罪の9割が初犯

 子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する制度「日本版DBS」を導入するための法案が5月23日、衆院本会議で可決した。学童保育や学習塾、スポーツクラブなども、国に申請して認定を受ければ対象とされる。

 一方で、検挙された性犯罪の9割が初犯とされる。大村健登被告にも前科前歴はなかった。制度では初犯に対応するため、職員の研修や面談などの環境整備を求めるが、神戸市の学童保育所長は「小さい所では時間と人員が限られ、どこまで実行できるか不安だ」と語る。

 教育現場での被害者の相談支援などをするNPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」(大阪府)の亀井明子代表理事は「DBSのような制度だけではなく、教育に関わる大人たちに、どんなことが子どもたちを傷つけるのか考えさせ、予防する体制の拡大が必要だ」と指摘する。【大野航太郎】

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