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ドラマにも登場、珠洲市の特産・七輪 「億単位の被害だが必ず復活」


 能登半島地震で、長さ約50メートルのトンネル窯が全壊した。石川県珠洲(すず)市で特産品の珪藻土(けいそうど)を使った七輪を製造する「鍵主(かぎぬし)工業」。鍵主哲社長(57)は「億単位の被害額だが、何としても復活する」と誓っている。

 トンネル窯は2022年6月の最大震度6弱、翌23年5月の最大震度6強の地震でも一部が壊れ、その都度修理して使ってきた。今回は一から作り直す必要がある。さらに出荷前の七輪が1000個以上、断熱材として販売しているれんがは5万個以上が割れた。

 珪藻土は植物プランクトンの殻が積もったもので、鍵主さんによると「珠洲の珪藻土は砂と粘土の混じり具合がちょうどよく、混ぜ物をしなくても固まる」。断熱性が高い同社の七輪は国内の飲食チェーンや欧州など海外のレストランから注文があり、三つ星獲得を目指すレストランが舞台となったTBS系ドラマ「グランメゾン東京」(2019年放送)にも登場した。

 今回の地震では事務所も倒壊し、がれきの撤去費用だけで数百万円かかるという。「事業の再開を優先したいので、保険金や支援金を待たずに腹をくくって進むしかない。従業員の生活も守らないと」。まずは、無事だった試験用の小ぶりの窯で七輪の製造再開を目指す。2月7日には、割れなかった七輪約200個のうち9個を出荷。既に持っているのに、応援の意味を込めて買ってくれた個人のお客さんもいるという。

 地震では、珠洲市内に住む姉の奥亨子さん(60)がつぶれた家の下敷きになり亡くなった。「穏やかな顔だったので、そんなに苦しまなかったのかな……」。鍵主さんが幼い頃、ブリ起こし(冬の寒ブリ漁の頃に鳴る激しい雷)におびえて泣くと、亨子さんは優しく見守ってくれた。「姉のことはあまり考えないようにしている。仕事に集中します」【国本ようこ】

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