能登半島を震源とする地震で、新潟県災害対策本部は3日、県内の被害状況について発表した。同日午後1時半現在で転倒してけがをしたり、体調不良を訴えるなどした負傷者は全日より5人増えて26人となった。また、住宅被害の報告も増えており、全・半壊と一部損壊を合わせた住宅の被害戸数は420戸となった。同本部では、3日から4日にかけて降雨が予想され、地震による地盤のゆるみなどから土砂災害の危険性が高まるとして、警戒を呼びかけている。
県災害対策本部によると、負傷者数は前日の発表から新潟市で5人増えた。いずれも軽傷。住宅の被害については計420戸のうち、全壊が新潟市西区の1棟。半壊は計10棟で、7棟が新潟市、3棟が糸魚川市。一部損壊は計409棟で、糸魚川市194棟▽新潟市101棟▽上越市66棟▽五泉市25棟▽燕市14棟――などとなっている。集計は各市町村への住民の報告が基になっているため、同本部は、まだ被害が増える可能性があるとしている。
2次被害を防ぐための被災建築物の応急危険度判定が新潟、柏崎、上越各市で行われており、うち「建物の立ち入りは危険」とする「危険」判定は新潟、柏崎市で各1棟、上越市で9棟あった。「建物立ち入りには十分な注意が必要」とする「要注意」判定は新潟市で6棟、柏崎市で8棟、上越市で5棟あった。
新潟地方気象台によると、4日午後6時までの24時間の降水量は上・中・下越でいずれも60ミリ、佐渡で50ミリと予想される。6～7日にかけても降雨が予想される。同気象台は、揺れの大きかった地域では地盤が緩み、少ない雨量でも土砂災害の危険性が高まる可能性がある、として注意を呼びかけている。
新潟市西区で被害大 液状化、断水続く
1日夕に発生した石川県能登半島を震源地とする地震で、震度5強を観測した新潟市西区では断水や道路の陥没、液状化現象の被害が広がっている。市内の建物被害などの大半も集中するなど、西区は県内でも大きな被害を受けており、3日には中原八一市長が現地を視察した。
西区役所によると、3日午前8時現在で把握した同区内の建物被害は、全壊1棟、半壊2棟。一部損壊を含めると100棟以上に上るという。また、区内の液状化現象による被害は44カ所あり、主にJR内野駅付近からイオン新潟青山店までの約6キロ、幅約1キロの範囲で多発している。このため、地震発生翌日から住民は噴出した土砂を取り除く作業に追われている。被害の規模を物語るように、西区役所はこれらの土砂を詰める土のう袋をこれまでに2万5000枚以上配った。
さらに、地震による水道管の被害から断水が続き、同区内の小中学校など計9カ所で給水車による支援を行っている。
市はネット経由も含め、被災者が公的支援を受ける際に必要な罹災（りさい）証明書発行の受け付けも始めた。西区では区役所税制課で受け付ける予定。西区社会福祉協議会は3日、ボランティアセンターを設置。区民からの要望を収集後、ボランティアの募集を始める方針。4日は雨天となる見込みで、土砂崩れなどを警戒して西区は3日午後2時ごろ、一部地域の住宅19戸に避難指示を出した。
この日午前中、中原市長は地震で被災した西区大野の住宅を視察。その後、避難所として指定され、地震で区内の住民が避難している市立坂井輪中学校を訪れた。中原市長は校舎内に入り、壁のひび割れや、表面がはがれ落ちるなどした被害を確認した。終了後、報道陣の取材に「被害の程度は想像以上だった。このような被害は1964年の新潟地震以来のことだろう」と語った。
住宅の損壊などのために自宅に住めなくなった被災者については、それぞれの意向を聞いた上で、市営住宅や空き家、ホテルで生活できるよう検討している。中原市長は「長期避難が必要な方に対応したい。可能な限りの支援を行うので、遠慮なく新潟市に要望してほしい」と呼びかけた。【内田帆ノ佳】
越後線・枕木土台陥没 6日再開に向け作業
JR東日本は、地震の影響で、越後線の越後赤塚―関屋駅間を3日以降も運休する。それ以外の区間は運行している。6日からの運転再開を目指す。
同社によると、運休区間内の内野―新潟大学前駅間で、線路の枕木の下にある砂利を敷き詰めた土台が陥没しており、復旧作業を続けている。
関川さかのぼる津波 上越
国土交通省北陸地方整備局は3日、上越市中央町の関川を地震によって発生した津波がさかのぼっていく画像を公表した。
同整備局河川部によると、画像は地震発生直後の1日午後4時35分ごろ、海に面した河口から、陸地方向の南へ約400メートルの左岸にある同省の監視カメラで撮影された。保倉川との合流地点の関川の水面を、津波がさかのぼっていく様子が分かる。同局によると、この地震で関川の堤防が一部破損している。【田倉直彦】
大谷翔平・野球ニュース