タス通信は20日、ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスが11日に打ち上げた無人月探査機「ルナ25号」が月面着陸前の軌道から外れ、月面に衝突したと報じた。ロスコスモス社は声明で「装置は予測不可能な軌道に移動し、月面と衝突して消失した」と発表した。ロシアにとって半世紀ぶりの月探査機打ち上げが失敗に終わり、宇宙開発計画にも大きな打撃となった。
ルナ25号はロシア極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で宇宙船ソユーズに搭載されて打ち上げられた。ロイター通信によると、今月21日に月の南極近くに軟着陸させる予定だったという。
ロシアの月探査機の打ち上げは旧ソ連時代の1976年に月の土を地球に持ち帰ったルナ24号以来。その後もさまざまな月探査計画が検討されていたが、91年のソ連崩壊に伴う混乱で棚上げされるなどしていた。2011年11月には火星探査機「フォボス・グルント」を打ち上げたが予定の飛行軌道への投入に失敗し、2カ月後に太平洋に落下。ルナ25号の打ち上げは10年代初期から計画されていたが再三延期されていた。【金寿英】