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滋賀・甲賀消防本部で全職員の5%超退職へ ハラスメント横行か


 新型コロナウイルスワクチン未接種者への対応が問題視されている甲賀広域行政組合消防本部(滋賀県甲賀市)で今年度、9月末までに計12人が中途退職することが関係者への取材で判明した。全職員(約200人)の5%超が退職する異例の事態で、複数の退職予定者らは毎日新聞の取材に対し、背景に消防本部内でハラスメント行為があったと訴えている。

 消防本部では2021年以降、ワクチン接種を辞退した警防課の職員が「接種拒否者」として廊下脇で勤務させられたり、未接種の職員4人が全員退職したりしていたことが判明。7月下旬に問題を検証する第三者委員会が設置され、全職員を対象にしたアンケートなどで本部内でのハラスメントの有無も広く調査する方針だ。

 消防本部によると、既に7月末に4人が辞め、8月末に6人、9月末に2人が退職を予定している。全員男性で、20代が6人、30代が4人、40代が1人、再任用の60代が1人。退職理由としては、▽給料が安い▽転職したい▽体調不良――などで、「ハラスメントの訴えはない」とする。

 一方、退職予定の職員の1人は取材に「幹部が職員に『仕事ができへんから、降任せい』と暴言を吐いたり、ささいなミスで休日に呼び出したりするなど、ハラスメントだと感じる行為を多く見てきた」と訴える。「幹部を恐れて誰も何も言えない。消防士は小さい頃からの憧れで、辞めたくはなかったが、この組織で働き続けることに希望が持てなくなった」と明かす。昨年に辞職を決めて転職活動をしたが、本部とのトラブルを避けるため、「他にやりたいことがある」などと説明し、本当の退職理由は口にしなかったという。

 別の退職予定者も「ハラスメントが横行する職場にいるのが辛かった」と言う。この職員は第三者委が9月まで郵送で実施しているアンケート調査に「退職した後まで嫌な思いをした組織に関わりたくないが、今後を恐れて回答をためらう職員もいる。職場が変わる最後のチャンスかもしれず、自分が見てきた出来事を書きたい」と話す。

 この2人のほか、退職を決めた別の職員は「上司による職員への人格否定の言動などがあった」と主張し、「消防の仕事は好きだったが、この職場で働き続けるのは無理だと思った」と明かす。今年5月に消防長ら5人がパワハラやセクハラ行為で懲戒処分を受けた高島市消防本部は、市が全職員に実施したアンケート調査などから、3割以上の36人がハラスメントの被害を受けていたことが明らかになった。この職員は「アンケート結果が出たら、大きな問題になるのではないか。実態が明らかにされ、後輩たちが頑張れる職場に変わってほしい」と調査に期待を寄せる。

 甲賀広域行政組合消防本部の退職者は2018年度に7人、19年度に4人、20年度に4人、21年度に3人、22年度に8人と、過去5年間で計26人に上る。13~17年度の5年間では計9人で、急増している。

 第三者委は来年3月までに調査結果をまとめる方針だ。ある現役の職員は取材に「毎日仕事に行くのがしんどい。自分も辞職を考えている。第三者委の調査結果が出るまで待てず、更にたくさんの職員が辞めていくのではないか」と話す。そのうえで「第三者委は調査や関係者の処分を急いでほしい。少しでも早く組織が改善されてほしい」と訴えた。【村瀬優子】

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