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米債務上限引き上げ、原則合意 妥協案に反発も 予断許さず


 バイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長は27日、連邦政府の借金限度額「債務上限」の引き上げで原則合意した。共和党が上限引き上げの条件として求めていた歳出削減についてバイデン氏側が妥協するなど、双方が歩み寄った。

 マッカーシー氏は、合意内容を基にした法案を28日中に完成させて議員に周知した後、31日に下院で採決するとした。米国債の史上初のデフォルト(債務不履行)回避の「タイムリミット」とされる6月5日までに何とか法案成立を間に合わせたい考えだ。ただ、両党から妥協案への反発も予想され、予断を許さない状況が続く。

 バイデン氏とマッカーシー氏が27日に電話協議して合意した。バイデン氏は同日夜、「マッカーシー氏と私は今夕、原則合意に達した。経済不況を引き起こす破滅的デフォルトを防ぐことができる」との声明を発表。「両院が直ちにこの合意内容を可決するよう強く求める」と議会に協力を呼びかけた。マッカーシー氏も記者団に対し「数週間の交渉の末に原則合意に達した。まだやるべきことは多いが、米国民にとって価値ある合意だ」と述べた。

 ロイター通信などによると、双方は27日までに国防費を除く多くの政府プログラムへの支出に上限を設けることなどで合意。共和党が求める低所得者向け給付制度の就労条件の厳格化などが対立点として残ったが、27日にトップが電話協議して妥協点を探った。これらの歳出削減に関する合意事項と引き換えに、2年間の債務上限引き上げを認める法案を策定する。

 今後の焦点は議会の対応だ。2022年11月の中間選挙の結果、米議会は下院で野党の共和党が多数派を握る一方、上院では与党の民主党が多数派を握る「ねじれ」状態にあるためだ。

 トップ合意した妥協案に対しては、大幅な歳出削減を求める共和党保守強硬派や、バイデン政権の巨額予算の維持を求める民主党急進左派の双方から反発を受ける可能性が高く、審議が円滑に進むかは不透明だ。

 連邦政府の現在の債務上限は31兆4000億ドル(約4400兆円)だが、1月に上限に達して追加の借金ができなくなった。財務省は公的年金基金の運用見直しなどの臨時措置で資金繰りを続けてきたが、イエレン財務長官は最速で6月5日に手元資金が枯渇すると警告。実際にそうなれば、政府機関の閉鎖に加え、米国債のデフォルトで世界経済が大混乱に陥る恐れがある。【ワシントン大久保渉】

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