立てこもり容疑者、解雇に不満か 給与巡りトラブル 愛知・安城

　愛知県安城市の人材派遣会社「榊原システム」で起きた人質立てこもり事件で、監禁容疑で逮捕された住所不定、無職、鈴木教仁容疑者（51）が「不当に解雇され、腹が立った」と供述していることが17日、県警への取材で判明した。

　鈴木容疑者は2017年ごろ、同社に登録し、派遣先で働いていた。捜査関係者によると、昨年7月ごろに退社したが、給与の支払いなどを巡ってトラブルになっていたという。県警は会社に対する不満が事件の背景にあったとみて、詳しい動機を調べている。

　県警によると、事件は16日午後2時半ごろに発生。鈴木容疑者は同社に入ると、手に持っていたバールでパソコンなどをたたき落とし、前社長を呼ぶよう要求。事務所にいた従業員の女性（37）から連絡を受けた前社長が110番した。

　県警安城署員が駆けつけると、鈴木容疑者は女性を抱えるようにして刃渡り約17センチの包丁を首に突きつけ、前社長とは別の関係者との面会も求めたという。午後4時20分ごろ、事務所の外に出てきた鈴木容疑者を捜査員が取り押さえた。【熊谷佐和子、森田采花】