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ハッチから浸水か=隔壁の穴で拡大可能性―知床観光船事故・運輸安全委


 北海道・知床半島沖で4月、26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、事故原因を調査している運輸安全委員会が9日までに、船前方のハッチから海水が入り込んだ可能性が高いとする報告書をまとめたことが関係者への取材で分かった。運輸安全委は近く報告書を公表するとみられる。  ハッチは甲板や船室内にあり、船員が船底に降りるためのもの。関係者によると、船前方の甲板にあるハッチの留め具に不具合が見つかった。このハッチから海水が入り込んだ可能性が高いという。海底から引き揚げられたカズワンのハッチはふたが外れていた。  また、甲板下の隔壁に穴が開いていたことが浸水拡大の要因の一つとみられるという。カズワンの甲板や客室の下は、船首側から(1)倉庫がある「船倉」(2)エンジンがある「機関室」(3)かじの近くの「舵機室」と分かれており、計3枚の隔壁がある。  船倉の隔壁には穴が開いていたことが既に判明している。機関室前後の隔壁はふさがれていたが水密構造ではなく、船底全体に浸水が広がる要因になった可能性があるという。   カズワンの隔壁を巡っては、昨年6月の国の定期船舶検査で延焼防止の観点から指導が入った際、機関室前後の隔壁2枚に穴が見つかり、ふさがれた。ただ、船倉の隔壁はエンジンから離れているため、指導が行われず穴が開いたままになっていた。現行の国の基準では、カズワンと同じ航行区域を設定している小型船舶に対し、水密構造の隔壁の設置を求めていない。(了)【時事通信社】
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