全国的にインフルエンザが猛威を振るう中、ウイルスをわずか15秒で無力化する効果があるという“ある飲み物”について研究結果が発表されました。その飲み物とは、私たちの身近な存在である「紅茶」。三井農林が運営するお茶科学研究所で、市販されている紅茶ティーバッグ1袋を150mlの熱湯で1分間抽出した中に、例年流行しているウイルスのひとつ、H1N1ウイルスを30秒間混ぜる実験を行ったところ、ウイルス量の99%以上が感染力を失うことが確認されました。これまでインフルエンザ対策に有効とされてきた緑茶の97.6%の結果をしのぐ値となり、新たな予防対策として注目が高まっています。そんな紅茶のもつさまざまなパワーと、おいしく抽出する際のポイントなどについて見ていきます。
そもそも紅茶とは?
紅茶に秘められたパワー
・抗酸化、殺菌効果
紅茶にはテアフラビンやテアルビジン・タンニンなどのたくさんのポリフェノールが含まれます。これらのポリフェノールは、紅茶の赤褐色の色素を作りだす素となっているだけでなく、活性酸素を不活化する抗酸化作用により、がんや動脈硬化をはじめとする生活習慣病の予防やアンチエイジング効果があります。また、茶葉を発酵することでカテキンが変化してできるテアフラビンは特にウイルスへの殺菌作用が強く、インフルエンザの型に関係なくウイルスの増殖を抑制し、感染力を失わせる働きがあります。
ただし、ミルクティーでは紅茶ポリフェノールがミルクのタンパク質に取り込まれてウイルスの感染力を奪う効果がなくなってしまうため、ストレートかレモンティーで飲むようにしましょう。
・リラックス効果
紅茶を飲んでいると、ほっと心がゆるむ瞬間ってありますよね。これは紅茶に含まれるテアニンが作用し、ストレスを抑制してリラックスを促す効果があるためで、集中力をアップさせ安眠を助ける働きもあります。もう一つは香りによる作用。例えば柑橘系やフローラル系のフレッシュな香りには、気持ちを明るく前向きにさせてくれる効果が、メントールやハーブ系の香りには、落ち着きやリフレッシュ効果があります。
・ダイエット効果
紅茶に含まれる糖分分解酵素のあるカテキンと、脂肪の分解・燃焼効果があるカフェインの作用により、運動前の紅茶がダイエットに有効とされています。同時に、ポリフェノールの一種テアフラビンにも脂肪吸収を抑制する働きがあります。カフェインやカリウムには利尿作用もあるため、体の中の老廃物や余計な水分の排出を促進し、むくみや便秘解消などデトックスにもつながります。
淹れ方のポイント
有効成分がたっぷり含まれている紅茶は、抽出の仕方によってその香りや風味が変わってきます。忙しい時でもすぐに使えて便利なティーバッグを使ったホットティーの淹れ方をご紹介します。
②くみたての水を沸騰させ、カップに注ぎます。
③カップの縁からすっとすべらせるように静かにティーバッグを入れます。
④そのまま1分~1分半を目安に蒸らします。小皿などを使ってカップにフタをして蒸気を封じ込めれば、じっくりと茶葉が蒸されるためおいしさが格段にアップ。
⑤ティーバッグを左右に軽くゆすり、取り出して完成です。
残った茶葉も有効活用
・お掃除に
紅茶に含まれるタンニンには余分な油や汚れを吸着、分解する作用があります。ティーバッグのまま(茶葉であれば湿らせたティッシュなどで包んで)キッチンのシンクや調理器具などを磨けば、汚れが落ちてキレイになります。洗剤を使わずにお掃除ができるのもエコになりますね。
・うがい薬に
紅茶に含まれるポリフェノールの一種であるテアフラビンには高い殺菌、抗酸化、抗ウイルス作用があるため、日々のうがいに用いることで風邪やインフルエンザ予防になります。その効果は水や緑茶でのうがいを上回るとか。出がらしの紅茶で十分効果があるため、残った茶葉で紅茶を抽出しておき、お出かけ前や帰宅後に紅茶うがいの習慣を取り入れましょう。