スパイスと聞くと、みなさん何を思い浮かべますか? カレーのスパイス。和のスパイスとされる山椒や山葵。そう言えば台所の隅に、いつ買ったか分からないスパイスの瓶が転がっている……などという方もいるのではないでしょうか。誰にとっても身近なスパイスを有効活用して、体のさまざまな不調を改善しようというのが「スパイス白湯」です。その作り方・活用法を『カラダの不調を整えるスパイス白湯』の著者・市野さおりさんに伺いました。
ダイエット、減塩からひらめいた「スパイス白湯」
看護師であり、健康コンシェルジュの市野さおりさんは、東京・新宿で「“Confianza”せき鍼灸院」を主宰しています。長年にわたって身につけた、西洋医療、漢方、アロマセラピー、メディカルハーブ、薬膳などの知識をいかして、訪れるお客様に施術からセルフケアの指導まで行う中、「スパイス白湯」を思いついたのだそうです。
「あるとき、ダイエットをしたい、しかも減塩もしなければいけないというお客様がいて、お腹がすいたときに空腹を満たすものが何かないかと尋ねられたんです。減塩を考えると、いくらカロリーが低くても塩分のあるスープを薦めることはできません。そこで思いついたのがクミンとコリアンダーを白湯に入れて飲むことでした。クミンは脂肪燃焼や代謝アップに効果的。そしてコリアンダーは腸の働きを整えてくれます。腸内環境のバランスが良いと、お腹が落ち着いて間食しなくて済むんですよ」(市野さん)。
それ以来市野さんは、さまざまなスパイスを単品で、あるいは何種類かを組み合わせて白湯に入れて飲むことを始め、鍼灸院のお客様にも薦めて好評を得ているとのことでした。
スパイスと水で簡単にできる「スパイス白湯」
台所にあるもの、あるいはスーパーなどで手軽に手に入るものだけでできるという、スパイス白湯の作り方はいたって簡単です。手順は次の3ステップだけなので、頭痛や便秘、冷えなどちょっとした不調を感じた時に、すぐに作って飲むことができます。
1.カップにスパイスを入れる
2.しっかりと沸かした白湯(100~180cc)を注ぐ
3.スプーンでかき混ぜながら飲む
この手順の中で是非心がけていただきたいのは、水はやかんに入れて沸かし、沸騰した後弱火にして15分ほど沸騰させ続けること。すると、これがお湯? と思ってしまうぐらい甘い白湯になります。電気ケトルしかないという場合は、沸騰後お湯が少し冷めたら再沸騰させます。それを2、3回繰り返せばOKです。
できた白湯は、食事と併用しなければいつ飲んでも構わないのだそうです。理想のタイミングとしては起床直後ですが、胃腸が弱い方にはいきなりスパイス白湯を体に入れると刺激が強すぎる場合もあるので、まずは何も入れない白湯を飲んで、その日の自分の体調を感じてから、それに合ったスパイス白湯を選ぶのもいいかもしれません。
基本の万能白湯は「クミン+コリアンダー」
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まずは、便秘を改善し、腸のガス抜き効果のある基本の万能白湯「クミン+コリアンダー」を作ってみましょう。
■分量
・クミンパウダー 3振り(約2g)
・コリアンダーシードパウダー 3振り(約2g)
・白湯(100~180cc)
このベーシックな白湯に、以下のものをさらに足すことによって、次のような効果が期待できます。
+ガラムマサラ(3振り)
ダイエットに最適。発汗作用で寒さを吹き飛ばす。
+山椒が多めの七味(3振り)
胃もたれを解消し、消化器系を元気にする。二日酔いにも。
+ジンジャー(夏はすり下ろした生ショウガ小さじ1、冬はドライジンジャー3振り)
手足の冷えを解消。ドライジンジャーは関節痛にも効果的。
季節の特徴を知って、一年を不調知らずで健やかに過ごすために
市野さおりさんの著書『カラダの不調を整えるスパイス白湯』(宝島社刊)は、スパイスの効能や、さまざまなスパイス白湯のレシピの他に、1年を6つに分けた季節(春・梅雨・盛夏・長夏・秋・冬)の特徴と、それに伴って現れる私たちの体調の変化と対処法について書かれているのが大きなポイントです。季節の特徴を知って、上手に過ごすにはどうしたらいいかがわかれば、不調知らずの体になることも可能とのこと。
「スパイス白湯は、長期で飲み続けなければいけないということはありません。ちょっと頭が痛いなとか、眠れないなどというときに救急箱にある常備薬的に使っていただくものです。体調が楽になってきたら、スパイスを入れず普通の白湯を日々の習慣にするといいと思います」(市野さん)。
まず、台所にあるスパイスを使って、スパイス白湯の効能を体感してみませんか?