ミステリー小説といえば、事件が起きて主人公が事件を解決する――そんなイメージがありますよね。
しかし、今回ご紹介する『風歌封想(ふうかふうそう)』は、事件が起こらない“恋愛ミステリー”。切ない恋模様と、謎が解ける爽快感を味わえる作品です。
手紙形式でつづられるミステリー『風歌封想(ふうかふうそう)』
『風歌封想(ふうかふうそう)』は、綾崎隼さんが手掛ける「風」をテーマとした物語。「風の便りであなたのことを聞きました」という、手紙の文面から始まります。
その手紙は、8年前に別れた恋人「舞原和颯(まいばら かずさ)」に宛てたもの。差出人の「私」は、彼に一目会いたいと30歳の節目に開かれた同窓会に参加しますが再会を果たせず、友人の勧めで手紙を送ったのでした。
8年経ってもなお相手への想いを断ち切れない「私」は切実な気持ちを伝えますが、その手紙にはある秘密が隠されていて……。
『風歌封想(ふうかふうそう)』の注目ポイント
本作は、ストーリーの大部分が手紙のやり取りで構成されているのが特徴。高校・大学時代の思い出がつづられる手紙には、学生時代の恋愛のピュアさやもどかしさが詰まっています。
そんな“大人になっても忘れられない恋”を動かすのが、手紙。SNSでのやり取りがメインの今だからこそ「手紙でなら正直な気持ちを伝えられる」という、手紙の魅力を感じさせてくれます。キャラクターたちが心に隠し持つ、痛みや切なさにぜひ注目してみてください。
さらに、物語を読み進めていくと手紙のやり取りにどこか違和感を持つはず。手紙に隠された秘密がわかると、思わず読み返したくなるトリッキーな作品でもあります。
ちなみに、文庫で総ページ242とボリュームは控えめ。サクッと読める小説なので、忙しい人や軽めの小説を探している人にもおすすめですよ。
こんな人におすすめ!
・一風変わったミステリー小説が読みたい
・ピュアで切ない恋愛ストーリーが好き
・サクッと読める小説を探している
『風歌封想(ふうかふうそう)』は、恋愛小説とミステリー小説どちらの側面も楽しめる物語です。次に読む本を迷っている人は、手に取ってみてはいかがでしょうか。
風歌封想(ふうかふうそう)
■著者:綾崎隼
■出版社:メディアワークス文庫(KADOKAWA)
■書籍価格:544円(税込)
■電子書籍:あり(Kindle・hontoほか)
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