なかなかきれいに焼けない「卵焼き」。崩れてしまったり、焼き目が付きすぎてしまったり……うまく焼くのは難しいですよね。
そんな卵焼きをとってもきれいに焼いたポストが、X(旧Twitter)上で話題になっているんです。
「結構綺麗にできた卵焼き」というコメントと共にふっくら黄金色に輝く卵焼きの画像を投稿したのは、普段陶芸作家として活動されている「森聖華」(@diderot24da)さん。見たことがないほど均一に焼けた卵焼きのなめらかな形が「めちゃくちゃきれい!」と話題になっています。ため息が出るほどきれいな黄色ですね……!
その美しさは大きな反響を呼び、X上では「プロ並み」「寿司屋で修業しましたか?」などのコメントが寄せられるとともに、2024年2月22日時点で17万件以上のいいねが集まっています。
今回、投稿主の森聖華さんにお話を伺い、投稿の背景や、普段の陶芸作家としての活動についてもお聞きしました。
森聖華さんは東京藝術大学で陶芸を学び、現在は陶芸作家として活動されています。卵焼きは小学生の頃から作って家族に振舞っていたそうですが、当時はまだきれいに焼こうという気持ちはなかったのだそう。その後、大学4年生の時に新型コロナウイルスが流行し、実家に帰省。「学校も休校続きで退屈だったので、卵焼きを毎日作りその成長過程をSNSに投稿していったら面白いのではないかと」思ったのだそうです。「そこから卵焼きの修行を始め、実家に帰省するたびに卵焼きを作るようになり、今に至ります」と話してくださいました。
ご家族の反応を伺うと、「私の家ではこの卵焼きの綺麗さは割と普通のことなのでみんなあんまり驚かずに食べてました笑 あとでXで話題になっていると知ってびっくりしてましたね」とのこと。あんなにきれいな卵焼きを驚かずに食べられるとは……!日々森さんが作る卵焼きもクオリティの高いものであることが伺えますね。
森さんは普段、水生生物をモチーフとしたものから、思わず集めたくなる「ヨーヨーマグカップ」や、フルーツを盛ると本物のタルトそっくりになる「タルト皿」など、幅広いテイストの陶芸作品を制作していらっしゃいます。細部までこだわって作られていて、思わず見入ってしまいます。
今回の卵焼きのように、日常生活の中で造形へのこだわりを感じることはあるかどうか尋ねたところ、「昔からみかんの皮を剥く時まわりについてる白い筋を全部取らないと気が済まなかったりしましたね。いかに果肉を潰さず白い筋を向けるか一人で闘っていました。白い筋がなくなったみかんを見ると美しいと感じてしまいます」と、筋をきれいに取ったみかんの写真を送ってくださいました。本当に美しい……!普段食べているみかんのはずなのに、何かのオブジェのように見えてきます。
他にも、「ケーキ屋でバイトしていた時にクッキーの成形を担当していたのですが、成形スピードが人より速く精度も高かったため、クッキー製造マシーンと揶揄われたりもしてました。一つ一つ同じ形に成形したクッキー生地が綺麗に列を成して並んでる様子を見て快感を覚えていました」とアルバイトでのエピソードも聞かせてくださいました。「この作業の過程を楽しみながら精度を出していく集中力は陶芸にも活かされていると思っています」と語った森さん。芸術家の方は日々の生活の中でも独自の視点があるのですね。
最後に、投稿に大きな反響があったことへの感想を伺うと「自分では前より少し上手くなったかな?くらいに思っていた卵焼きが17万もいいねをいただけるほど褒めていただけてとてもびっくりしています」とした一方、「嬉しい反面、表面に線が入ってしまったりなど反省点も多いのでこれからも修行を重ねて改善していきたいと思っています」とまだまだ卵焼き作りを極める意欲を見せてくださいました。
今後は卵焼きの投稿、陶芸の作品いずれも楽しみですね!ぜひSNSをフォローして、最新の情報をチェックしてみてくださいね。
取材協力者:森聖華