自分のスタイルが確立された玄人キャンパーさんのキャンプギアに表れる個性。パート1の記事では、カブり知らずのギアをテーマに皆さんのとっておきのギアを紹介してもらいました。
パート2では、キャンプサイトのコーデや快適性に直結する「ファニチャー」にフォーカス。選び方や使い方、真似したくなるアイデアなど、キャンパーさんたちのこだわりや工夫に要注目です。
傑作ミニチェアに一工夫で、フェス仕様に。
DAIS DESIGN AND FIELDの「ピクニックチェア」
こちらは、山形のアウトドアショップ&ブランド、DAIS DESIGN AND FIELD(元DECEMBER)の「ピクニックチェア」。同ブランドのロングセラーアイテムです。
重さは720g。丈夫な帆布素材とスチール製のフレームにより、コンパクトなサイズとは裏腹に80kgもの耐荷重があります。
そんな定番チェアの愛用者の一人、Konさんは、シンプルな工夫を施してフェスでの使い勝手をアップさせていました。
「キャンプのときは、メインチェアにヘリノックスの『チェアワン』を使っていて、このチェアをサブチェアにしています。オットマンや物置として使ったり、ゲスト用にしたり、何かと都合がいいんです。」
「今日みたいな音楽ライブがあるアウトドアフェスのときは、カラビナとアジャスター付きのコードを取り付けて、肩掛けできるようにしています。チェア自体がコンパクトなので、肩掛けしても動きやすいんですよ」
「ライブを座ってゆっくり見たいときも便利なんですが、フードトラックで買ったごはんを食べようと思ったら、席が埋まってたなんてときも活躍!フェスでの自由度が増すのでおすすめです」
定番のミニチェアもちょっとした工夫で、フェスの頼もしい相棒に。長時間の行列待ちのシーンなど、キャンプ以外のシーンでも使い勝手が良さそうです。
航空機由来のアルミ什器と、定番ラックを組み合わせ。
ヴィンテージのギャレーボックス
続いて紹介するのは、無骨でインダストリアルな質感がたまらないアルミ製のボックス。こちらは、旅客機で機内食の運搬用什器に使われていた「ギャレーボックス」と呼ばれるもの。航空会社ごとに違うラベルや刻印、エイジングされたアルミの質感が味わい深い人気の逸品です。
こちらを定番ギアと組み合わせて、シャビーシックなラックとして活用していたのは、surfridertsさん。
「デザインを重視しつつも、合理性を捨てきれない、ミッドセンチュリー時代のアイテムが好きで、家にもキャンプにも取り入れています。このギャレーボックスはそんなテイストにも合うので気に入ってます」
「そのまま地面に直置きすると、扉が開かないので、ユニフレームの『フィールドラック』に乗せて高さを出しています。ギャレーボックスを2個乗せるとちょうどぴったり。ボックスもラックもクルマに積載しやすくて使い勝手が良いです」
「よくあるキャンプ用の収納ボックスと違って、横から中にアクセスできる点が便利。専用規格の引き出し式トレイも入手すれば、中身を整理しやすいです。私の場合は、キッチン周りのギアやコーヒー道具を収納しています」
そのデザインと実用性の高さからキャンプで使う人も増えており、状態の良いものは玉数が少なく値段も高騰中のギャレーボックス。安価で入手しやすいリプロダクトの新品も出ているので、手軽に導入したい人はこちらもアリです。
人気DIYレシピを、素材選びのセンスで一味違う逸品に。
D.I.Yの三脚テーブル
キャンプ用のテーブルをD.I.Yする方も増えていますが、その中でも人気のメニューが、カメラの三脚を脚代わりに使ったテーブル。
他のブランドが一目置くガレージブランド、38explore(サーティエイトエクスプロー)がデザインした、ネジ止め式の三脚アダプター金具「アシノプレート」の登場で一気にその人気に火がつきました。
誰でもかんたんにテーブルが作れるが故に、その人のセンスが問われるのも面白いポイント。数々の三脚テーブルを見てきた取材班もこれは素敵だ!と感じたこの一脚は、コーヒー好きキャンパー、イクダンさんのもの。
OWNER:イクダンさん
コーヒーインストラクター1級の資格を取得するほど、コーヒーを愛する20代キャンパー。オートキャンプにくわえてハイキングやSUPなど、アクティビティにも注力しつつ、D.I.Yの腕も磨き中。
「チェアサイドに置くコーヒーテーブルが欲しくて、D.I.Yに挑戦しました。天板は、オーク材を工務店で丸くカットしてもらい、家でマキタのトリマーを使って面取りを行い、角を処理。そのあと、オイルを塗って仕上げました。手をかけた分、質感がかなり良くなったので満足です!」
「もうひとつのこだわりは三脚選びです。サイトをウッドとアルミのアイテムで統一したくて、シルバーのものを探し求め、たどり着いたのが、このマンフロット社の日本代理店80周年記念モデル。通常モデルはブラックなのですが、限定版は樹脂パーツまでアルミに置き換わっています」
「組み合わせとして気に入っているのが、T no T(タビノトモ)のシリコン製LEDランタンシェード『ヴァロシェード サンシャイン』。光が柔らかくなって、コットサイドに置いたときにホテル感があっていい感じなんです。ただ、このテーブルは未完成。グラフィックデザインにも挑戦して、コーヒーをテーマにこの天板にレーザー刻印したいなと野望を抱いてます!」
イクドンさんの好きなものがつまった、三脚テーブル。素材やカラー、テイストの統一の大事さを教えられた素敵な作品でした。天板とカメラ用三脚、「アシノプレート」があれば誰でも作れるので、自分だけのテーブルを作ってみたい方は、チャレンジしてみましょう!
個人輸入に初挑戦して、国内未流通のレアな一脚をゲット。
センチネルゴルフの別注カーミットチェア
続いての注目ファニチャーは、言わずもがなの人気を誇る永久定番アイテム「カーミットチェア」。バイカー向けの折りたたみ式チェアとして、アメリカのカーミット氏が開発した天然木のチェアは、見た目や機能も去ることながら、座り心地にも定評があり、キャンパーたちの間に一気に普及。カラバリも豊富でさまざまなサードパーティからカスタムパーツも展開されています。
こちらの、けっそんさん所有のカーミットチェアは、カスタム品かと思いきや、じつは日本未発売のレアな逸品でした。
「センチネルゴルフというアメリカのゴルフブランドとの公式コラボモデルです。人とカブらないカーミットチェアが欲しくて、いろんなキーワードで検索しまくり、海外のサイトで存在を知りました。最初のうちは日本語検索で調べていましたが、案の定みたことあるものしかヒットせず……。最終的には苦手な英語に四苦八苦しながら「limited」「collaboration」などと、入力して探したのはいい思い出。」
「初めての個人輸入だったので、ちゃんと届くかドキドキしたのですが、実物を手にしたときはめっちゃうれしかったです!通常モデルは、シートがナイロン素材ですが、このコラボモデルは、ブラックカモ柄のX-PAC素材でできています。より水に強くて、伸びにくいところも気に入っています。」
「国内ではカーミット自体入手困難だったんですが、在庫があったのはキャンプブランドではなく、ゴルフブランドだから、ノーマークだったのかも……。アウトドア系じゃないブランドやショップでこういうアイテムを見つけると興奮しますね!」
人とカブらないアイテムに惹かれてしまう方は、検索やSNSを駆使して海外の情報を掘ってみると、思わぬレアものと出会えるかも知れません。日本への発送に対応していたり、追跡サービスや補償付きの発送を選べるサイトも年々増え、個人輸入のハードルも下がってきているので、チャレンジするのもあり!
グルキャンの料理番が選んだ、”使える”ファニチャー。
ブラックデザインの「チャックボックス」
こちらは、台湾発のアウトドアブランド、BLACK DESIGN(ブラックデザイン)の収納アイテム「チャックボックス」。同ブランドは、丁寧に加工された機能的なウッドギアに定評があり、日本でも高い人気を誇ります。ハンドメイドゆえ、生産数が少ないので、各ショップでは入荷するたび争奪戦!
このアイテムの愛用者は、グルキャンをメインに楽しむ料理好きの、おかもんさん。
「5、6年前に横浜のDEVISE WORKSで購入しました。キャンプ仲間と『正月だからギアを爆買いしよう!』という話になり、購入しました。グルキャンで料理担当をすることが多いので、みんなで使えるキッチンアイテム用の棚が欲しいなというのが決め手でした!」
「お気に入りのポイントは、横から開く点。キャンプ中の中身の出し入れのしやすさはもちろん、撤収のときにクルマに積載したあとでも、しまい忘れた食器を入れられます。ここには、グルキャン用の食器やカトラリーを収納。内部の片方がボックス型の仕切りになっているので、そのまま取り出してテーブルに置けたりも。シーンに合わせていろんな使い方ができて便利です!」
「上にモノを置いても中身を取り出しやすいので、サイドテーブルとしても使っています。天板の一部がスチール製になっていて、火にかけたクッカーを置けるのも使い勝手が良いです。自分にとって手放せない道具ですね!」
使い手の利便性を考えてさまざまな機能が満載された「チャックボックス」は、サービス精神旺盛なおかもんさんの人柄と重なるところがありました。ギアは人を表す?
ワンアクション展開が気落ち良い、戦車モチーフのウッドテーブル。
カタパルトファクトリーの「ランドシップ」
こちらのテーブルは、ウッド製のギアを中心に、ストイックな物作りが、コアなファンに支持されているブランド、CATAPULT FACTORY(カタパルトファクトリー)のもの。入魂のアイテムは、ハンドメイドゆえ少数生産。キャンプ歴10年以上のキャンパーさんにのみ販売しているそうです。
ソリのように見えますが、モチーフとなったのは、第一次大戦時、イギリス軍により世界で初めて実戦投入された戦車「マーク1」。「ランドシップ(陸上戦艦)」というネーミングも当時の呼称から何だとか。
「この唯一無二のデザインにやられて、即購入しました!細部まで丁寧に作られた隙のない作りと、3回のオイルフィニッシュで強調された、タモ材製の天板の木目が、見ていて飽きません。サイズもソロキャンプにちょうどいいので、いつもメインテーブルとして使っています。今ではボクのサイトの顔ですね!」
「展開のイージーさもこのテーブルの魅力。面倒な組み立ては不要で、両サイドからこんな風に押し引きするだけで、クイックに設営撤収できるんです!たたむと薄くなるので、クルマのラゲッジに積む際も場所を取りません」
「サイド部分にはフックが付いていて、ヘリノックスの定番収納ボックス『サイドストレージS』が取り付け可能。試しに愛用しているAS2OVの『コンテナボックスS』を取り付けてみたら、これもぴったりで、それ以降この組み合わせで使っています。カップや良く使う調味料なんかをさっと取り出せて便利です」
どう使おうか、使い手の想像力を掻き立てる魅力的なテーブルですね!こういったユニークなアイテムを展開できるのも、職人系ガレージブランドの魅力。人と一味違うアイテムを求める人は、そういったブランドが集う展示会やイベントをチェックしてみると、思いがけない出会いがあるかも知れません。
アウトドアインテリアに表れるキャンパーたちの個性。
レアなものから、入手しやすいもの、D.I.Yしたものまで、多種多様な玄人キャンパーさんたちのキャンプファニチャー。今回取材した皆さんに共通しているのは、キャンプにくわえて、さまざまな趣味を持っている点。皆さんのアイテム選びに「この人、ちょっと違うぞ!」と感じた理由には、そういった趣味で得られた経験が顔を出していたからなのかもしれません。
The post 玄人キャンパーたちのとっておきファニチャーを調査。ギア選びに出る個性とこだわりとは? first appeared on GO OUT.