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【ブランドピックアップ〜SOWBOW〜】伝統技法、着流し感、デザイン、どこを切りとっても“粋”が宿る。


九州の生産背景や文化にこだわり、唯一無二なシャツや、弊誌でも馴染みのハンテンなどを手がけるブランド「SOWBOW(ソウボウ)」。細かなデザインや、それらが生まれる工場、最新作に着目した。

九州の文化や技術をどこかに取り入れ製作。

日常着。という謳い文句は正直なところ少し聞き飽きている。これ以上いらないと思うほど世にあるファッションブランドのなか、普通の服をうたわれてもその必要性を疑ってしまうのは当然だろう。

ワンナップ仕様のマオカラープルオーバーシャツ。ボタンを開けて着用時の開き具合と、Vゾーンのおさまりにこだわった襟元が特徴。生地、織り、染めに加えて、有田焼のボタンまで抜かりなし。¥30800

今回取材するブランド「ソウボウ」は〝特別な誰かのためのものではなく、人々の日常に寄り添うものであってほしい〞というスローガンを掲げている。それでは今回のブランドも前に述べた、幾多のブランドのなかのひとつなんじゃないかと思うかもしれない。でも、この「ソウボウ」においての日常は別の概念。むしろ、モノづくりのこだわりはどんなブランドよりも面白いと先に公言しておきたい。

デザイナー藤田さんの愛読書。九鬼周造:『「いき」の構造』(左)、森田たま:『きもの随筆』(右)。

都内で活動するデザイナー藤田貴久さんと、生産を担う九州・熊本在住の吉村望さんにより2016年に誕生したこのブランドは、いかなる製品も九州の文化や技術をどこかに取り入れ製作する。

九州の吉村さんと出会って「土産物のように、九州の服が買えるといいね」とブランドをスタートさせた藤田さん。九州のいろんな伝統をオルタナティブな思考でファッションに取り入れることで、その文化を全国に着々と普及させている。

一見普通に見えるデザインシャツも、一台のモーターから連結されたベルト式の力織機で作った久留米絣のものであったり、大正2年創業の織屋で仕立てたものであったり(藤田さんがそれを筑後織と呼びはじめ、今では少しずつ市民権を得ている)、有田焼の工房で製作したオリジナル陶磁器ボタンを用いていたりと、なかなかお目にかかれないものばかりなのだ。

重衣料よりはシャツ作りに長けている九州。その背景を活かし、様々なシャツを製作している。写真に写るものは藤田さんのデザインソースで’50年代のものや、「シャンハイタン」のマオカラーシャツなどが見られた。

「ボクらの言う日常に寄り添うものとは、気流せるものを指しているんです。ジブンは〝いきの構造〞という九鬼周造の名著から多くを学んでいますが、粋なものって、主張しているものじゃないと思うんです。どれもが極力いなせなものでありたい」。

博多人形を作っている友人に紹介してもらい作るに至ったという有田焼のボタン。器をつくるのと同じ工程でひとつずつ製作しているから、とにかく手間がかかる。シェルのボタンより割れにくいというメリットこそあるが、穴も手であけているらしい。

こだわりは凄まじくても、ひけらかさず、外づらはさりげなくというわけだ。こういう日常着なら応援したいし、もっと世界に届いてほしいとさえ思う。

器のように美しいボタン。カラーバリエーションもいくつかある。

ソウボウの服を生む、久留米絣を織る工房。

十八番の久留米絣(福岡県久留米市周辺に伝わる綿織物。くくりと呼ばれる技法で、あらかじめ染め分けた糸を用いて製織し、紋様を表す)の服はどのようにできているのか。手がけている工房のうちのひとつを紹介。

織り幅が38cmしかない力織機のシャトル。織るときに、経糸(たていと)の間に緯糸(よこいと)を通すのに使われる道具だ。先染めした糸で柄を作っていくわけだが、言わずもがなプリント生地とは雰囲気に雲泥の差が生まれる。
その名のとおり久留米にある『山村かすり工房』。新作のゼブラ柄の久留米絣を作るために依頼した工房で、1895年創業、今は4代目にあたる。
ゼブラ柄を織っているところ。
4.元来、生地は手織りが主流だったが、シャトル織機が昭和初頭に導入。伝統工芸ではなく、伝統工業という側面も持ち合わせている。手書きのゼブラ柄図案を見ながら、織られていく。
久留米絣はブランドをスタートしたときから活用している素材。各工房で得意なことや取り組んでいることが微妙に異なるらしく、ソウボウはそれらを使い分けながら頼りにしている。
工場で見られる暖簾も久留米絣で織られたもの。

伝統技術を背景に生みだされたシャツたち。

ソウボウの代名詞ともいえる久留米絣などを用いたシャツは、パターンが全7種。襟のデザインから裾の形状に至るまでシルエットが異なる。ここでは、アーカイブで使用した生地とともにパターンの違いを紐解いていく。

(上段中、上段右、下段右)ボタンの止め位置によっての襟元の変化が際立つ大きめな襟が特徴。(下段左)台襟と襟先を同パーツにすることでリラックスした襟元の印象に。(中段中、中段右)オリエンタルなムードのワンナップ仕様のマオカラープルオーバーシャツ。(上段左、上段右)コットンとシルクの混紡生地をインディゴ染め。(左中、右下)トラディショナルなタータンチェックは柄出しから表現したオリジナル。(下段左)民芸調のスクエア柄はくくり糸をたて糸に使うことで生じる“かすれ”が特徴。

思わず唸る、九州文化を詰め込んだ渾身作。

今、そしてこれから手に入るアイテムを厳選。ひとつひとつの製品に対してこだわりやウリ文句が多すぎるのに、あくまで着流せるようサラっとしているのがさすがのひと言。WEBショップもぜひご覧いただきたい。

SOWBOW SHIRTS(G / ROUND BOTTOM RC SHIRT) ¥35200

江戸時代後期、歌舞伎役者の市川團十郎が家紋の「三枡」を崩して考案したとされ、別名「團十郎格子」とも呼ばれる三枡格子縞を久留米絣の織機で製作したシャツ。サイズも豊富に揃う。

SOWBOW SHIRTS(D / MANDARIN COLLAR) ¥44000、TRAUSERS PANTS ¥36300

左はマンダリン(マオ)カラーシャツジャケット。内側の縫い合わせのパイピング処理、襟の立ち具合の設計、インディゴ染めを行う都城の工房での製品洗いに至るまで、すべてを丁寧に施している。ノープリーツのシンプルなデザインのトラウザーズ。腰まわりはノータックでフラット、裾に向かって自然なテーパードの効いたすっきりシルエットだが、もちろん随所のギミックは十二分である。

SOWBOW SHIRTS(G / ROUND BOTTOM RC SHIRT) ¥30800

タックインしたときのブラウジング感も計算した’90sライクな丈長、身幅ゆったりシルエット。デッドストックで見つけたオンブレチェックネル生地を使用し、職人が1点ずつタイダイ染め。

SOWBOW SHIRTS(H / SPORT JACKET) ¥49500、EZ PANTS ¥41800

左のシャツは、よこ糸にくくり糸をつかい柄を作る緯絣(よこかすり)で織りたてた、ゼブラ柄久留米絣を採用。袖付けの設計は着物から着想されており、“着流し”を楽しめるゆとりのあるシルエットとなっている。右は、“もんぺ”から着想を得て製作された、腰まわりがゆったりとしたシルエットでリラックスしたムード感のあるイージーパンツ。テーパードしたタイプと、裾までワイドな2タイプをラインナップ。

SOWBOW HANTEN “CHIKUGO-ORI” ¥40700

古くから日本を代表するワンマイルウエアとして親しまれてきたハンテン。1913年から続く、福岡県筑後市の半纏(ハンテン)屋、宮田織物謹製。綿入れなどの行程は手作業でおこなわれる。

SOWBOW CHAN-CHANKO “CHIKUGO-ORI” ¥36300

ビッグサイズで丸みを帯びたシルエットが特徴のハンテンをベストにアレンジ。異なる色の糸を組み合わせた筑後織“NAGOMI”を採用し、深みある表情豊かな生地に仕上がっている。

(左)AZUMA BAG+TASUKI made of “KURUME-KASURI” ¥9900、
(右)STOCK NO: × SOWBOW MOCCASIN BOOTS ¥48400

左は日本の縫製技術と風呂敷(あづま袋)の型を守り未来へ創造するアズマバッグと、ソウボウの久留米絣が融合した逸品。袋部分は丈夫で撥水性のあるナイロン素材で、持ち手部分が久留米絣の仕様。

右は福岡発のブランド、ストックナンバーのモカシン別注モデル。アッパーにデッドストックの毛足の長いスエードを使用し、インソールにはブランドロゴを箔押しで印字。久留米絣の巾着も付属する。


(問)ソウボウ www.sowbow.jp Instagram:@sowbow_jp

Photo/Shouta Kikuchi,SOWBOW  Report & Text/Naoto Matsumura

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