■アニメ版とマンガ版の違いをまとめてみた!
1995年10月4日から1996年3月27日にかけてテレビアニメ版エヴァンゲリオン全26話が放送された。また、マンガ版は単行本は全14巻。全14巻の累計発行部数は2,500万部を突破しており、海外でも注目されている人気アニメだ。そんなエヴァンゲリオンシリーズはアニメ版とマンガ版だと、話の内容が少し異なる様子。そこで、その違いをまとめてみた!
■マンガ版では出会いのシーンが最期の伏線に……!
まずフィーチャーするのは謎のフィフス・チルドレン、渚カヲル。テレビアニメ版では最終話に近い24話にしか登場していないものの、女性を中心に熱狂的なファンを獲得している人気美少年キャラだ。(※テレビアニメ版の25話、26話、及び旧劇場版にも、碇シンジの心理描写内などでは登場するが、劇中における現実世界に登場したのは24話のみ)
シンジの仲間であるフィフス・チルドレンとして登場し、一緒に大浴場で湯船に浸かるなどして心の交流を深めていくが、その正体は第17使徒のタブリス。エヴァ弐号機を操りセントラルドグマに侵入したため、シンジの乗るエヴァ初号機と敵対することになるのだ。カヲルに対し、「裏切ったな! 僕の心を裏切ったな! 父さんと同じように裏切ったんだ!」とシンジが咆哮。最終的にシンジの意思で、エヴァ初号機の手でカヲルを握り潰すのだった……。
そんなカヲルはマンガ版では、長きに渡ってレギュラー出演するのである。全14巻のマンガ版のうち初登場は7巻。7巻での登場シーンはわずかだが、9巻からは本格的に登場し、物語に深く関わっていく。しかも9巻序盤から11巻終盤まで、およそ三巻分の長きに渡りレギュラーとして活躍。精神崩壊した惣流・アスカ・ラングレーに代わりエヴァ弐号機パイロットとなり、シンジや綾波レイと共闘するシーンなど、テレビアニメ版ではほとんど描写がなかった “エヴァパイロット・渚カヲル”としての活躍も、しっかり描かれるのだ。
――彼の最期はテレビアニメ版を踏襲するような形だったが、シンジが乗るエヴァ初号機が彼を握り潰すシーンは、鳥肌が立つほど秀逸。というのも、マンガ版でのシンジとカヲルの出会いの “あるシーン”を伏線にすることで、シンジの葛藤を狂おしいほど深く掘り下げているのである。
■四季を無くし常夏だった世界に、冬が訪れる
いきなりネタバレとなるが、テレビアニメ版の “真エンディング”的ポジションで制作された旧劇場版、そのラストシーンについて触れよう。サード・インパクトが起こり、碇シンジの心象世界で紆余曲折を経た後、赤く染まった海の砂浜に横たわるシンジと惣流・アスカ・ラングレー。巨大化した綾波レイの半分になった顔が不気味に存在し、磔にされたエヴァ量産機がたたずむ静謐な世界だ。そこでシンジは隣にいたアスカの首を絞める。そして、そんなシンジに向けてアスカが一言、「気持ち悪い」と呟く……これがラストシーンだった。
――では、マンガ版のラストシーンとは?
サード・インパクトが起こり、シンジの心象世界での葛藤・決断が描かれるという流れまでは旧劇場版とほぼ同じ。しかし、そこからは全く異なる展開を見せる。
最終話は、雪景色のとある地方の田舎町から始まる。『新世紀エヴァンゲリオン』の世界は、セカンド・インパクトの影響で地軸が移動し、日本は四季がなくなり常夏になっていた。つまり、その雪景色は、日本に四季がある正常な世界であることを示しているのだ。シンジは雪景色の中、高校受験のため、東京に向かう電車に乗り込む。
再構築された世界は、シンジやアスカがごく普通の少年・少女のように高校を受験する平和な世界だったのだ。シンジはアスカとケンスケとの束の間の邂逅を経て、都心の街並みを歩きながら、「僕の未来は 無限に広がっている」と心の中で噛み締める。そんなシンジのスクールバックには、ミサトからもらった十字のアクセサリーが光っていた――。
サード・インパクトに至る過程などは、旧劇場版とマンガ版に大きな違いはない。しかし、ラストシーンは全く異なり、まるで光と影のような真逆のエンドとなっているのである。