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「実は中学時代の淡い恋が忘れられないんです」彼女への思いが募って結婚できない、独身男性のひとりごと




 



■中学時代の淡い恋





ケンジさんは、今年の夏、46歳になる。結婚願望はあるのだが、誰かとつきあっては、「この人ではない」と感じてしまい、結婚には至らないそうだ。20代後半から何度かそんなことがあった。



 



「実は中学時代の淡い恋が忘れられないんです」



 



彼の父親は転勤族で、小学校も中学校も3回ずつ転校した。ある中学には半年しかいないこともあった。その半年しかいなかった中学で出会ったのが、ユミさんだ。



 



「転校したその日に席が彼女の隣だったんです。いろいろ貸してもらったり学校のことを教えてもらったり。彼女がバレーボール部だというので僕も思わずバレー部に入部しました。一目惚れだったんです。彼女、本が好きでね。純文学の小説などを彼女から借りました。僕はミステリーしか貸せなかったけど、ミステリーもおもしろいと言ってくれた」



 



家が近かったので、部活が終わってからよく一緒に帰っては友だちに冷やかされた。彼女の家に行っておかあさんの手作りのクッキーをごちそうになったこともある。



 



「恥ずかしくてつきあってなんて言えなかったし、そんな雰囲気でもなかった。ある日、一緒に帰っていたら彼女から手をつないできたんですよ。もうそれだけで心臓がバクバクして。そしてそれが彼女との最後でした」



 



翌日、教師が彼女は転校したと告げた。その後、町では彼女の父親が不倫して家出し、母親がユミさんと妹を連れて町を出たと噂になった。



 



「真偽のほどはわかりません。でも夜逃げ同然にいなくなったのは確かだった。彼女との思い出は3ヶ月だけ。そしてその3ヶ月後、僕はまた父の転勤で遠く離れた土地に行きました」



 



彼女はどうしているのだろう。ずっと忘れられなかった彼女のことを知りたくて、大学生になってから当時の中学を訪ねてみた。教師や同級生にも会ってみたが、彼女の行方はまったくわからなかったという。



 



 



■彼女への思いが募って



 



中学時代のたった3ヶ月の恋。それが意外にも彼の人生に大きな影響をもたらした。



 



大学を卒業して就職した企業で素敵な女性と知り合い、3年つきあったものの彼女が期待する「結婚」という言葉を口にはできなかった。30代になってからも2度ほど似たようなことがあった。



 



「30代後半になってから3歳年下の女性と2年つきあい、彼女からプロポーズされたんです。しっかりしていて気弱な僕を元気にさせてくれる女性で、すごく尊敬もしていた。だけどいざプロポーズされて結婚を考えたら、やはりユミちゃんに会いたい、自分の中でまったくけじめがついていないのに結婚したら彼女にも悪いと思っちゃったんですよね」



 



目の前にある幸せを自分で壊しているような気もするが、彼にとってはユミさんのことが解決しなければ前に進めないのだ。それはある意味で、自縛なのかもしれない。そして自縛があるからこそ、彼はがんばって生きてこられた可能性もある。



 



「わかっているんです。ユミちゃんはきっと見つからない。何の手がかりもないし、今はきっとどこかで幸せに暮らしている。彼女にかこつけて僕は結婚から逃避しているのかもしれない」



 



さんざん転校させられたあげく、高校時代に彼の両親は離婚したのだという。そんなことも彼の結婚観に影響を及ぼしているのではないだろうか。彼がどうしたいのか。そろそろ向き合って考える時期にさしかかっている。


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