
<阪神0-6中日>◇16日◇甲子園
中日高橋宏斗投手(22)が今季初完封で5月2日広島戦以来となる3勝目を挙げた。過去5試合で0勝3敗と苦手としていた甲子園でプロ初勝利。悩めるエースの快投で、チームは今季最長の6連勝を飾った。首位を独走する阪神に、今季7勝5敗と白星先行。竜が虎に強い!
1人で投げきった。高橋宏が待ち望んでいた瞬間だった。最後の打者森下を二ゴロに打ち取り、笑顔が弾けた。126球の熱投で4安打7三振無失点。首位阪神を相手に今季初の完封勝利を飾った。
「阪神打線は誰1人、気が抜けない選手ばかりでしたし、僕も1人1人丁寧に投げた結果が9回までいけたと思います。チームが良い雰囲気の中やれていると思います」
プロ入り後、甲子園での初勝利となった。過去5試合に登板して0勝3敗、防御率4・35。苦しい登板が続いたが、6試合目にしてつかんだ「聖地」での1勝だ。今季の勝ち星そのものも、5月2日広島戦(マツダスタジアム)以来の3勝目。ほしくてたまらなかった白星を完封で飾ったのだから喜びも倍増だ。
勝てなかった期間、先輩大野の姿が支えになった。「勝ちが先行している投手は今、おじさん連中(笑い)。食らいついていけるように頑張りたい」。口では「おじさん」と言うが、心底尊敬している。「マウンドでの立ち振る舞い、練習態度とかも、全て見習わないといけない。かけてくれる言葉というのはすごく重みがある」。先輩から学び、吸収し、自分の力に変える。「おっさんずラブ」で苦しい期間を乗り越えた。
チーム初完封勝利に、井上監督も「試行錯誤して考えている中で、つかんだものがあったのかなと思います」と納得の表情。高橋宏の復活は大きなプラスだ。
吉兆もあった。指揮官は「余談になるけど、試合の途中でカラスかハトか知らないけど、うんこがビシャって。うんこ来たよ! って。だから今日は運があるなと思っていた。負ける気がしなかった」とおどけた。チームは今季最長6連勝で、借金は5まで減った。Aクラスへ、ひた走るのみ。阪神戦は7勝5敗とセ・リーグで唯一の勝ち越し。真夏の暑さとともに竜が昇り始めた。【林英樹】