阪神村上頌樹投手（27）が、気迫むき出しの投球で約1カ月ぶりの白星をつかんだ。1点ビハインドで味方打線が逆転する直前の7回1死一、二塁のピンチ。代打筒香を迎えカウント2－2からきわどいコースの149キロ直球がボール判定で両膝に両手をついた。それでも気持ちは切らさず、148キロ直球で空振り三振に斬り絶叫した。続く桑原は10球目を中飛で無死一、三塁から無失点。グラブをたたき、熱い感情をほとばしらせた。
「『1点もあげれないな』と。何とか気持ちでというところで近本さんがセンターフライをとってくれて、その後逆転してくれたので良かった」
粘投で逆転を待った。3回まで完全投球。4回に先頭桑原を四球で初出塁させ、続く佐野に初安打となる右翼フェンス直撃の適時打を許し1点を奪われた。それでも5回は2死一、二塁は無失点。6回は3者凡退、7回も追加点を許さなかった。「勝ちがついたらうれしいことだが試合をつくるというのが先発の役目。今日もこういう風に試合をつくれて良かった」。7回を5安打4奪三振2四球の1失点で5月30日広島戦以来5登板ぶりに勝利投手。巨人山崎と同日に8勝目を挙げリーグトップタイを継続した。
今季はカード頭を任され続けている虎の勝ち頭。先発ローテーション定着3年目で周りを見られるようになったことが好成績の主な要因だが、まだ5年目の27歳だ。「立ち位置がすごく上がったとは感じていない。自分は若い方。先輩でいいピッチャーもたくさんいますし」。客観視しながら忘れたくないのは「がむしゃらに」との気持ち。「いいピッチングをすれば絶対チームのためになる。いい成績を残せばチームが勝って優勝に近づく」。淡々と投げることも多いが、この日はがむしゃらさを前面に出して勝利を呼び込んだ。
チームは今季最長タイの6連勝。その6試合で計4失点と投手陣が奮闘。エース格の勝利で、さらに勢いがついた。【塚本光】
