■『コマンドー』:これぞビッグ1!! カルト的ファンを生んだシュワ映画の金字塔
シュワちゃん映画といえば『ターミネーター』シリーズが有名だが、筆者がおすすめする彼の魅力を味わうなら断然こっちである。思うにシュワちゃん映画の魅力は、“豪快な筋肉アクション”、“シリアス過ぎない作風”、“決め台詞”にある。本作にはこの3つが凝縮されているのだ。
1985年公開、マーク・L・レスター監督のアクション映画である本作は、精鋭部隊コマンドーの指揮官だった主人公(もちろんシュワちゃん)が、娘をさらわれ、悪の武装集団にカチコミをかけるという単純明快なストーリー。
それまでは悪役としての出演や、ファンタジー映画などに出演していたシュワちゃんが、以後何度も演じることになる“屈強な正義漢による勧善懲悪モノ”に初めて挑戦した作品と言えるだろう。その大雑把な展開やキャラクターの行動、吹き替え版の独特の言い回しなどで人気に火が付き、日本ではカルト的な人気を得ている。
■『トゥルーライズ』:巨匠ジェームズ・キャメロンが送る “笑い”דアクション”
次は、『エイリアン2』や『タイタニック』などで名を馳せる巨匠ジェームズ・キャメロンが監督した、1994年公開の映画『トゥルーライズ』。制作費が約120億円という、当時では最高クラスの予算をかけて制作された痛快アクションコメディだ。
ロサンゼルスに暮らす温厚なセールスマンの主人公(もちろんシュワちゃん)には、大統領直属のスパイ機関の凄腕諜報員という裏の顔があった。だがそんなことはつゆとも知らない妻は、夫を深く愛しつつも退屈な日々に刺激を求めていた。凶悪テロ組織の陰謀阻止と家庭問題、主人公は二つの難題をクリアできるのか…というのが本作のストーリー。
『ターミネーター』でシュワちゃんの名を世に知らしめたキャメロン監督が、当時その屈強さを逆手に取ったコメディ作品でも人気だったシュワちゃん主演で、彼の持ち味である“笑い”と“アクション”を両立させた1作で二度美味しい傑作となっている。
■『ラスト・アクション・ヒーロー』:シュワちゃんの俳優人生自体がモチーフ!
最後は1993年公開の『ラスト・アクション・ヒーロー』を紹介しよう。『ダイ・ハード』や『プレデター』といった人気作を連発していたジョン・マクティアナン監督が、アクションスターとして人気絶頂期だったシュワちゃん主演で、彼のパブリックイメージ自体を物語に組み込んだ、笑えて、泣けて、スカッとする1作だ。
映画好きの少年が、親しい映写技師の老人からもらった魔法の映画半券。その力で、少年はシュワちゃん主演の架空の人気アクション映画シリーズ『ジャック・スレイター』の世界に迷い込んでしまう…というファンタジー要素のあるストーリー。
少年たち憧れの存在であるシュワちゃんが後半、映画のマジックが解かれた現実世界に来てしまい、苦悩しながらもヒーローの矜持を保ち続ける展開は、爽やかな涙を誘う。興行的には伸び悩んだものの“映画の中のヒーロー”という存在を、ある種メタ的に捉えた構成は見事だった。